
メジャー実績抜群の右腕は全力プレーを欠かさなかった
トレバー・バウアーが前を向き、力強く言った。
「チームに『先発で行け』と言われれば、投げられる体の状態、メンタルであると思います」
8月30日の
阪神戦(甲子園)で負った右腸腰筋遠位部損傷から超回復。10月6日、横浜スタジアムで一軍練習に参加した。ライブBPでは4イニングを想定し、計86球。直球の最速を問われ「192キロでした」と明るく冗談を飛ばした。「予定よりスピーディーに回復している」と驚いたのは
三浦大輔監督。今季絶望の可能性もあったが、CSファーストステージでの復帰を視界に捉えた。
2020年にサイ・ヤング賞に輝いたバリバリのメジャー・リーガー。開幕直前にNPB、
DeNA入団が決まった。「優勝して、リーグで一番の投手になりたい」とシンプルに目標設定。5月3日の
広島戦(横浜)で初登板初勝利を挙げた。常人離れしたタフさを持ち合わせ、8月3日の広島戦(マツダ広島)では10回無失点。中5日で向かった
中日戦(横浜)も7回無失点、108球の力投で8勝目を手にした。
レギュラーシーズン最終登板となった阪神戦の負傷は、投前への打球を滑り込みながら捕球したもの。「すべてのプレーで全力を尽くす。それができなくなったら、引退してもいいぐらいの覚悟で臨んでいる」とまったく後悔をしなかった。
東の16勝に次ぐチーム2位の10勝。6度の中4日とフル回転しながら、YouTuberとしてもファンを楽しませてきた。データを活用し、独自の調整法で投手陣を刺激してきた理論派。間違いなく、ベイスターズに不可欠な戦力だった。
写真=BBM