アウト1つ取る難しさ ──プロ2年目。昨年との立場の違いなどを感じることはありますか。
高橋 2年目になって、周りが見えるようになり過ぎちゃったというのはありますね。昨年はガツガツとバッターに集中して行けていたんですが、周りが見えるようになったことで「ここは走られたらダメだな」とか「これはキャッチャーが何を意図して投げさせているのかな」とかというのを先に考えちゃって。それはあんまり良くないかなと思いますね。
──先発投手などでは、周りが見えるようになって、落ち着いて投げられるようになるという声も聞きますけど……。
高橋 自分はもっとバッターに集中したいっていう気持ちがありますね。自分もプロに入る前、先発のときは周りが見えている方がやりやすかったんですけど。でも、プロに来て中継ぎしかやっていないので。まあ、自分だけの考えかなとは思うんですけどね。
──1イニングを抑えるということは、やはり集中力が大事ということでしょうか。
高橋 そうですね。ただ、1イニングがこんなに長いと思っていなかった。1イニングのアウト1つ取るのがどれだけ大変かって、あらためて感じましたね。昨年はアウト1つで交代とかが多かったので、今振り返れば、正直なところ、ほんと楽なところで投げさせてもらっていたなと。今はアウト3つ取らないと終われない。そこはやっぱり去年との一番の違いかもしれません。
──今年、研究されているなと感じる部分はありますか。
高橋 それを最初に思ったのは、開幕カードの
楽天戦(
西武ドーム)です。開幕3戦目だったんですけど、楽天のバッターが外の真っすぐだけを張って振ってきていた。昨年は、そこで三振を取っていたので、「あ、研究してきているな」というのは感じましたね。だから、その時点で今年はそんなに多く三振は取れないのかなとは気付いて。あとは、
オリックス戦でも糸井さんにはすでに2打席で2安打されましたし。昨年までだったら向こうも自分のデータがないので三振してくれましたけど……。
──では今年は、三振は狙わない?
高橋 いや、それでも三振は狙っていますけどね(笑)。ストライク先行で行って、最後追い込んでから三振を狙えばいいかなという気持ちにはなりましたけど。やっぱり自分がプロ野球を見てきて、抑えって
佐々木主浩さんとか
藤川球児さんとか、三振をすごく取るピッチャーというイメージ。自分の中で「抑え=三振」って決めつけちゃっているので(笑)、最後のバッターを打ち取っても、ほんと少しだけですけど「三振が良かったな」って気持ちはどこかにありますね。
──佐々木さん、藤川さんというお名前が出ましたが、リリーフとして理想とするピッチャーはいますか。
高橋 特に考えたことないですね。自分、左なので……。左で抑えってなかなかいないですし、
中日の岩瀬(仁紀)さんがいますけど、スライダーピッチャーでタイプが違いますよね。自分の変則フォームでとなると、参考にする人もいないんですよね。自分のボールを投げられればいいかなと思っています。
──2年目のシーズン、このあとどんなピッチングをしていきたいですか。
高橋 とにかく、見ていて安心されるような投球をしたいです。開幕直後は打たれ続けて、今はまだ大丈夫なのかという不安もあるので。昨年も一つひとつアウトを積み重ねて、中継ぎとして、あのポジションを勝ち取れたので、今年もそうやってじっくり徐々に信頼をもらっていきたいかなと思っています。
──現状の課題としては?
高橋 やっぱり真っすぐを昨年くらいまでに持っていきたいですね。今、まだそれほど調子が上がってきていないので、探り探りで真っすぐを投げていますけど、それをちゃんと自分で腕を振って投げれるようにしたいですね。
──真っすぐの出来としては?
高橋 6、7割くらいじゃないですか、自分の中では。もっとスピードが出てもいいだろうと思っているので、まだ納得いっていないですね。
──ちなみに、札幌ドームで逆転本塁打を打たれたあとは、気持ち的に引きずりませんでしたか。
高橋 あれはやっぱり悔しかったですよね。でも、その日は落ち込みましたけど、次の日にはもう切り替えられていましたね。次の試合で県営大宮球場に行くのに遅刻しないようにというので頭がいっぱいで、すっかり忘れていたら、周りから「お前、切り替え早いな」って言われました(笑)。嫌なことは忘れてしまう。
──前向きですね。
高橋 もちろん反省はしますよ。反省はするけど、引きずらないんです(笑)。
PROFILE たかはし・ともみ●1988年11月16日生まれ。静岡県出身。173cm82kg。左投左打。加藤学園高、岐阜聖徳学園大、西濃運輸を経て、13年ドラフト4位で西武入団。社会人時代の左肩の故障もあり、昨季中盤までは二軍登板すらなかったが、8月15日に一軍昇格。9月15日のロッテ戦(西武ドーム)から13戦連続ゼロ封、シーズン奪三振率13.50を残した。今季は開幕からセットアッパーとして僅差のゲームで登板、現在は抑えを任されている。今季成績は16試合登板0勝1敗6S4H、20奪三振、防御率2.35(5月21日現在)。