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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「選択に幅のある制度設計を。現役ドラフトの議論は今後も」

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昨年12月の現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎は今季12勝を挙げ、移籍が飛躍のきっかけに[写真=牛島寿人]


 今から15年前、ジャイアンツに育成選手として入団した山口鉄也が育成出身初となる新人王を獲得、WBCの日本代表にも選ばれて球界を代表する選手となった。同じくジャイアンツに育成選手として入団した松本哲也は2009年にゴールデン・グラブ賞と新人王を獲得、2年続けて育成出身の選手が新人王に輝いた。

 もちろん山口、松本の活躍は素晴らしかったし、それを讃えたい気持ちに一点の曇りもない。ただし、支配下登録選手枠の上限撤廃に向けての緊急避難だったはずのこの制度を、「山口、松本」の成功例が正当化してしまったことは否めない。一時的に導入したはずの育成選手制度は、球団にとっては多くの選手を安く獲得できる、じつに都合のいい仕組みだった。

 最低年俸240万円、支度金300万円で獲得できる育成選手は当たれば儲けものの存在だ。実際、育成選手は“アマ以上プロ未満”に見える。一軍の公式戦に出場できず、二軍の公式戦にも1試合5人しか出られない。背番号は3ケタで選手会にも所属できない。いったいなぜ、わざわざ育成選手とカテゴライズされなければならないのか。支配下枠の上限を撤廃すれば済む話ではないのだろうか。

 以前にもここで綴ったが、育成ドラフト4位でホークスから指名された千賀滉大が、ドラフト9位ではなぜダメだったのかをきちんと説明できる人はいるだろうか。同じ育成ドラフトで5位だった牧原大成はドラフト10位、育成6位だった甲斐拓也はドラフト11位で良かったのではないか。ドラフト9位の千賀に“契約金300万円、年俸240万円”を提示したとして、本人が・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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