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元巨人チームスカウト・中村和久が特別指南する「楽しみ方」

ドラフトは下位指名にこそ醍醐味あり

 

ドラフト会場に設置される12の円卓上では、今年もさまざまな戦略が練られることになる



いよいよ“運命の日”が迫ってきた。各球団が誰を1位指名するのか――。これが最大の関心事と言えるが、下位指名選手の顔ぶれにこそ、チームの将来像が隠されているのはないだろうか。ここでは元巨人チーフスカウトの中村和久氏が自身の経験を踏まえ、「スカウト目線」で指名順位の読み解き方を特別指南する。

注目の「ドラ4」は今年も出世順位?



「ドラフト4位」。この順位にどんな印象を抱くだろうか。決して上位とは言えない順位ではあるが、いわゆる“掘り出し物”は多い。その筆頭格が1991年オリックス4位の鈴木一朗(愛工大名電高、現イチロー)であろう。ただ、彼は完全なる無名選手だったかと言われれば、そうでもない。名門校で2度甲子園に出場し、マウンドにも上がった。ドラフトの指名順には必ず戦略が存在する。その当時、私の耳にも「日本ハムが3位でいくのでは」という情報も耳に入っていた。オリックスが4位で彼を獲得できたのは、ある意味、幸運だったのかもしれない。

 この順位に、後に大成する選手が多いのは偶然だろうか。イチローの年だけでも広島金本知憲(東北福祉大)、阪神桧山進次郎(東洋大)、近鉄・中村紀洋(渋谷高)がいる。

 さらに言えば、野茂英雄(新日鉄堺)に8球団が競合した89年のドラフトでは、その陰に隠れるように前田智徳(熊本工高)が4位で広島に入団。今季限りで現役を退いたが、その活躍ぶりは周知のとおりだ。03年にヤクルトから4位指名された青木宣親は05年にイチロー以来の200安打突破でメジャー・リーグへと羽ばたき、現在も奮闘している。

 近年では11年のロッテ4位・益田直也(関西国際大)、楽天4位・岡島豪郎(白鴎大)の台頭が著しい。さらに下位の楽天6位・島内宏明(明大)も、岡島とともにチームの底上げに貢献。要するに、プロで輝くために入った順位など関係ないのだ・・・

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