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6位指名からプロへ飛びこむ早慶右腕の決意

白村明弘[慶大→日本ハム]、横山貴明[早大→楽天]

 

ともに苦しみ、悩んだ末に訪れた“朗報”だった。慶大・白村明弘日本ハムから、早大・横山貴明楽天から、同じ6位指名を受けた。下位から見据えるのは一軍のマウンド。夢舞台への切符をしっかりと握りしめ、両右腕はまず、110周年を迎える11月2日からの早慶戦へと向かう。

慶大・投手
白村明弘
低評価に抱いた新たな思い”

北海道日本ハム6位



取材・文=菊池仁志 写真=椛本結城

「今日という日を、思い描いていたほどスッキリは迎えられなかった」

 指名されて、ホッとしました」 

それは、偽らざる心境だっただろう。名前が呼ばれることなく、刻一刻と時間だけが過ぎていく。

 10月24日17時に開始された2013年のドラフト会議。慶大・白村明弘の名前が呼ばれたのは、2時間24分後。日本ハムの6位指名だった。

 1位指名は慶大日吉キャンパスに詰めかけた報道陣とともに、テレビ画面を見守った。第1回入札で3選手が抽選となり、第2回でも2人、第3回でも1人。そんな状況に、「早く進まないかな」と焦りを見せ、広島が交渉権を獲得したライバル・大瀬良大地の抽選には、「何か分からないけど、緊張しますね」と、何度もペットボトルの水を口に運んだ。

 間もなく決まるはずだが、動かない自身の状況。次々と動き出したともに戦った盟友たちの未来に、自身の姿を重ね合わせることで空白の時間を埋めた。しかし、1位指名の12人の中に白村の名前は挙がらなかった。ここで一度、退席。合宿所へ戻り、仲間たちと状況を見守った。

 12球団の指名は続く。2位、3位……。ここで江藤省三監督は食事へと席を立ち、「このとき、覚悟を決めました」と、白村も自室に帰ってベッドへ横たわった。「2年間鍛えて、見返してやろう」。社会人へ進み、少しばかり遠ざかった未来に決意を新たにした。それでも自身の目で進むべき未来を確認したかった。再び、テレビでドラフトの状況を確認し始めたとき、時計の針が動き始めた。「4年間、自分の詰めが甘かったから仕方ないです」

 思いもかけなかった下位指名に複雑な思いはもちろん、ある。慶應義塾高3年時、提出すれば指名は確実といわれたプロ志望届を記入しなかったのは、「プロでやるしっかりした自信」を手にする4年間を過ごすという決意が、プロへのあこがれを上回ったからだ。

 しかし、東京六大学リーグで優勝した10年春は登板なし…

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