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末恐ろしいまでのポテンシャルと話題性で、2014年のルーキーの中でもNO.1の注目を集めているのが楽天松井裕樹。2年夏の甲子園で大会新記録の22奪三振をマークし、一躍スターダムに躍り出た黄金左腕はプロの舞台でどんな活躍を見せてくれるのか。同じく高校時代に甲子園に出場して「大ちゃんフィーバー」を巻き起こした荒木大輔氏がプロの先輩としてのアドバイスも交えながら、沖縄の地で奮闘する18歳のゴールデンルーキーの胸の内に迫った。

取材・構成=小林光男、松井進作 写真=荒川ユウジ、桜井ひとし(インタビュー)

プロで1年間戦える肉体を作るために

荒木 初めてのプロのキャンプ。多岐にわたるメニューの難しさを含めて、ここまでの日々を振り返ってみてどうですか?

松井裕 本当にアップ1つとってみても毎日違いますし、最初はとにかくついていくのがやっとでした。でも、ようやく第2クールに入って慣れてきたかなとは感じています。

荒木 今日も全体練習終了後にウエートもかなりやっていたみたいだけど、やっぱり体作りというのがキャンプの1つの大きなテーマにもなっているのかな。

松井裕 そうですね。疲れも出てきてはいるんですけど、ここからが勝負というか、こういったときでも長いシーズンを戦っていかないといけないので。疲れの取り方もそうですけど、コンディションが悪いなりにもマウンドの上で良いパフォーマンスを発揮できるような肉体をまずは作っていきたいです。

荒木 本当にそのとおりで、休むときはしっかり体を休ませることも大切なんだよね。それがうまくできる人がプロでも長くやれる人だから。それにウエートのメニューとかも高校時代とは全然違ったでしょ。

松井裕 細かい筋肉の名前とかまで細かく説明していただけるので、高校とはやっぱりレベルが違うなと。

 それにまだまだ先輩たちと体つきでも差があるので、自分の思い描く強いボールをしっかり投げられる土台をこれから作っていきたいです。

荒木 でも、このキャンプでブルペンも見させてもらったんだけど、とにかく腕を思いきって振れるのは素晴らしい才能だなと。その点は自分の中でも意識している。

松井裕 はい。とにかく腕を振って強気に攻めていくのが僕のスタイルでもあるので、それはプロでも変わらずに追い求めていきたいです。

 ただ、高校とはレベルがまったく違うと思いますので、ピッチングフォームを含めてすべての面でもっと力をつけていきたいです。

荒木 ピッチングフォームの話が出たけど、佐藤(義則)投手コーチとマンツーマンでフォームについて話している場面も多いけど、具体的にどんな指導を受けているの?

松井裕 いままでの投げ方だと1年間戦うには体への負担とロスが大きいので、無理のない体重移動ができるようなフォーム作りに佐藤コーチと取り組んでいます。もっとバランス良く、効率よく、ボールに自分の力を伝えられるように。

荒木 久米島キャンプの最後のほうでは、修正したフォームに手応えも感じているようなことも言っていたけど、ボールが変わってきたなという実感はある?

松井裕 少しずつですけど、最初のころに比べたら良くはなってきているのかなと。ただ、まだまだプロのレベルに追いついてないので、高い意識を持ってこれからもやっていきたいです。

荒木 レベルの違いという点で、例えば普段のキャッチボールをやっていてもそれは感じる? あとは、誰とやることが多いのかな。

松井裕 キャッチボールはだいたい大塚(尚仁)さんですね

荒木 学ぶことも多い?

松井裕 ……いや、キャッチボールに関してはそんなにないかもしれません(苦笑)。

荒木 そんなにないか(笑)。あとは宿舎では則本(昂大)と同部屋なんでしょ。1年目からあれだけの活躍をした選手だから、いろんな面で刺激を受けると思うけど、どんなアドバイスをもらっているの。

松井裕 もっと野菜を毎日食べろとか(苦笑)、技術面では変化球のことについて教わったりしています。

荒木 新しく覚えたい変化球でもあるの。

松井裕 覚えたいというよりは、則本さんの横に滑るスライダーにすごく興味があって。それで握りや投げるときの意識やイメージとかを教えてもらいました。でも、いまの自分に合う、合わないもあるので、いろいろとチャレンジしながら実戦で使うかは判断していきたいです。

荒木 松井君のスライダーはどちらかと言うとスラーブみたいな軌道だもんね。その点では則本みたいなスライダーを含めて、横に変化するボールも将来的にはあるとピッチングの幅も広がるよね。ただ、まだ高卒1年目だから球種を増やすことよりも、いまの持ち球を磨いていくことの方がいいかもしれないよね。

松井裕 それはすごく自分でも感じていて、そこをクリアしてから次のステップにまた進めればいいなとは思っています。

荒木 でも、そういった興味やチャレンジする姿勢はすごく好感が持てるし、おだやかな性格の中にもマウンドでの強気な姿勢、内に秘めた熱い心を含めて骨太な部分もすごく感じるよ。それはプロで戦っていく上で必要なものだとも思う。

松井裕 そう言っていただけると本当にうれしいです。まだまだ足りない部分が多いんですけど、1日でも早く先輩たちに追いつけるように一歩ずつ前に進んでいきたいです。

▲楽天キャンプ恒例の朝の声出しでは「今年は先発ローテーションに入り、チームの優勝に少しでも貢献できればいいと思っています!」と抱負も口にした。黄金左腕がいよいよプロの舞台でそのベールを脱ぐ

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