度胸と直球は魅力十分
天職の救援で力を発揮
プロ1年目ながら新人王と最優秀中継ぎのタイトル争いに加わった
又吉克樹。結果を残すことができた理由を、昨年まで
中日二軍監督を務め、今年は野球評論家として活動中の
鈴木孝政氏に分析してもらった。
「彼が優れている点はまず、投げっぷりが良いところ。怖いもの知らずで、マウンドで自分のパフォーマンスを表現できているのが一番大きい。
開幕後は5月までに2度、二軍に落ちてしまったけれど、6月に再昇格してからずっと好投を続けているのは、負けじ魂が良い方向に影響したんじゃないかな。這はい上がってやるという根性を感じるし、プロ野球というサバイバルの世界が性格的に合っているんじゃないかと思う。
普段は好青年なんだけど、いったんマウンドに上がったら人が変わる。これがとてもいい。僕も去年までユニフォームを着ていて、若い選手には『二面性を持て』とよく言っていたからね。僕も現役中はそうで、ユニフォームを脱いだらごく普通。自分で言うのもなんだけど、優しい男だったよ(笑)。でも、いったんユニフォームを着てマウンドに上がったら、180度変わらなきゃ。
技術的には伸びのあるストレートが一番の武器。フォームもちょっと変則で、しかもリリースの前にいったんキャッチャーミットから目線を切る。そうすることで打者に恐怖感を一瞬でも与えている。さらに投げっぷりが良いんだからますます対応しづらいし、腰が引けてしまうよね。
連投できるところも大きな魅力で、投球フォームに無理がないこともあるし、回復力が人並み外れている。これは人それぞれだけど、筋肉や腱の柔らかさが優れているんだと思う。
だから救援というポジションは又吉にすごく合っている。ストライク先行で連投してくれて、結果を出しているんだから、ピッチングコーチはかなり助かっているんじゃないかな(笑)。
最優秀中継ぎは難しくなってしまったけど、新人王の可能性は十分にあると思います」
鈴木孝政氏によるセ新人王争い展望
中日の
福谷浩司、
広島の
田中広輔、
DeNAの
三上朋也などがシ烈な争いを繰り広げているけれど、内容では又吉と
大瀬良大地がライバルになるでしょう。新人王は数字ではなく記者投票。チームの順位にも影響されるし、どうしても先発投手にウエートがかかって来る。どちらかというと大瀬良がやや有利かもしれません。
ただ、前例がないのを承知で言えば、今年は2人同時に取らせてあげたいくらい甲乙がつけがたい。一生に一度の賞なんだから……とも思ってしまいますね。
思い切り腕を振ってカベを乗り越え、その先に
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