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2014ドラフト特集 第9弾

2014ドラフト 見どころと1位候補予想

 

第1回入札において何球団が重複するか。早大・有原は今秋、右ヒジ痛による故障で出遅れたものの、各球団の「1位評価」はほぼ不動である


10月23日のドラフト会議へ向け、各球団とも難しい選択に迫られそうだ。早大・有原航平が実力において頭一つリード。第1回の1位同時入札において、この156キロ右腕が重複するのは確実である。一極集中の様相だが、抽選で外れた際のシミュレーションも組んでおかないといけない。リスクを承知の上で指名に踏み切るのか。それとも現実路線で、将来性も見据え、補強ポイントに合致した選手を確実に獲得するのか――。2014年ドラフトの見どころを探る。

10月18日からの立大戦が最終確認の場


 ドラフト1位をめぐる大きな動きがあった。9月28日。法大との開幕カードを右ヒジ痛でベンチ外だった早大・有原航平が、明大2回戦で今秋初マウンドを踏んだ。

 0対4の6回から救援。真っすぐの出来は自己申告で「5〜6割」と、変化球中心の配球ながら、3回を無安打無失点と貫録の投球を見せつけている。ネット裏には日米10球団が集結。前日の1回戦から復帰登板を待ち望んでいたスカウトが、目を光らせていた。

 評価は分かれた。神宮球場の表示は最速148キロだったが、福岡ソフトバンクのスピードガンは150キロを計測。同永山勝スカウト部長は言った。

「即戦力でもあり、8球団くらい重なってもおかしくない。要は行くか、行かないか。(クジで)当たれば、10勝以上できる力はある」

 ベンチ入りメンバーから外れた法大戦から視察する中日中田宗男スカウト部長も、胸をなで下ろした一人である。

「(1位の)評価は揺るぎない。ただ、本当の状況は分からないところもある。将来の主戦候補であることは間違いないわけだから、何が何でも1年目ではなく、本来の調子に戻してからでもいい」

 すでに有原が出身の地元・広島が1位指名を公言。重複は確実だが、慎重論を唱える関係者もいた。東北楽天早川実アマ・スカウトグループマネジャーの見解は以下だ。

「ひとまず、投げてくれたことで一安心。でも、手探り状態で100のうちの半分しか出ていない。普通のドラフト候補ではないわけですから、何回か見ていかないといけない」

 阪神佐野仙好統括スカウトは言う。「実力は春のリーグ戦の段階で分かっている。担当スカウトを含め、また見に来ることになると思います。これから、どんどん上がってくるでしょう」

 楽観視されていたのも束の間、翌週の東大戦では登板機会がなかった。ドラフト会議までは10月18日からの立大戦が最後。ラストアピールの場で、存在感を示してほしいものだ。

有原競合覚悟か指名回避で有望高校生へ方向転換も!?


 一方、土壇場で評価を高めたのが亜大・山崎康晃である。10月8日の駒大1回戦で3安打、自己最多15奪三振の完封。この試合で今季2勝目と、ようやく本領発揮。プロ志望届提出当日に圧巻の投球で、あるスカウトは「1位で競合するだろう」と見通しを話した。

亜大・山崎は今秋の序盤は不調で先発から外れることもあったが、リーグ終盤のドラフト前に復調の兆しを見せている。1位で競合するとの声も多い



 このほか済美高・安楽智大は昨年痛めた右ヒジを不安視する球団もあるが、長期的ビジョンで見れば1位でないと獲得できない大器。

右ヒジの状態が気になる済美高・安楽。将来の球界を背負う至宝となり得る存在だけに、獲得した球団はじっくりと育成していきたいところだ



 社会人では新日鐵住金鹿島の左腕・横山雄哉の評判が高い。盛岡大付高・松本裕樹も右ヒジ痛を抱えているとはいえ、攻守のセンスは抜けているだけに1位で消えることは確実だ。外れ1位では前橋育英高・高橋光成、明大・山崎福也、ヤマハ・竹下真吾と投手が最優先となりそうだが、野手獲得を目指す球団ニーズによっては、九州国際大付高・清水優心、早大・中村奨吾、智弁学園高・岡本和真も浮上してくるだろう。

社会人でNO.1評価を得ているのが新日鐵住金鹿島の左腕・横山。山形中央高時代は2度の甲子園に出場し「菊池雄星二世」と言われていた



明大・山崎は早大1回戦で、リーグ現役最多の20勝を挙げてポーズ。大型左腕という特性もあり、1位12人の中に入ってくるのはほほ確実だ



野手NO.1評価は早大・中村。本職は二塁手だが、外野も守れることから起用の幅が広がりそう。球団ニーズによっては1位で消えるだろう



智弁学園高・岡本は高校通算73本塁打のパワーが魅力。投手を指名した第1回入札で外した球団は、超高校級スラッガーに切り替える可能性も



 話題性では京大史上初のプロ誕生で注目される田中英祐、興南高の左腕として、10年の甲子園で春夏連覇を遂げた中大・島袋洋奨の動向も気になるところだ。

関西学生リーグ通算8勝の田中は京大初のプロ野球選手誕生までカウントダウン。上位候補投手が軒並み調子が上がらない中、持ち味を発揮しており、1位の可能性も秘める



東都通算11勝の中大の主将・島袋は、学生ラストイヤーの春は未勝利、秋は1勝(10月17日現在)。甲子園連覇左腕は苦しんでいるが、吉報を待つ



2014ドラフト1位候補予想


※△は左投げ、左打ち
第1回入札重複
 安楽智大(済美高)投手
 有原航平(早大)投手
 山崎康晃(亜大)投手

第1回入札単独
△横山雄哉(新日鐵住金鹿島)投手
 松本裕樹(盛岡大付高)投手

第2回入札(外れ1位)
 高橋光成(前橋育英高)投手
 清水優心(九州国際大付高)捕手
 中村奨吾(早大)内野手
△山崎福也(明大)投手
 岡本和真(智弁学園高)内野手
△竹下真吾(ヤマハ)投手

第3回入札(外れ外れ1位)
 小野郁(西日本短大付高)投手
石田健大(法大)投手
浅間大基(横浜高)外野手
佐野泰雄(平成国際大)投手
 野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)投手

第4回入札(外れ外れ外れ1位)
 田中英祐(京大)投手
 栗原陵矢(春江工高)捕手
 高濱祐仁(横浜高)内野手
 江越大賀(駒大)外野手
浜田智博(九産大)投手
 古澤勝吾(九州国際大付高)内野手
 石崎剛(新日鐵住金鹿島)投手
倉本寿彦(日本新薬)内野手
福地元春(三菱日立パワーシステムズ横浜)投手
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