信頼と執念の勝利

　親善試合とはいえ、3連勝後の2連敗、さらには緊迫のゲーム展開に、小久保裕紀監督が勝利への執念を見せた。1点リードの8回、指揮官が動く。

　先頭の松田宣浩が二塁打で出塁、銀次が四球で塁が埋まると、八番・今宮健太に犠打のサイン。ここで2年連続パ・リーグ犠打王が、まさかの失敗としたが、一死一、二塁から、「流れ的に、ゲッツーのリスクを考えました。そうなると相手に完全に流れが行ってしまう」と続く小林誠司にも迷わず犠打を求めた。

　試合前、「とにかく勝ちに行く試合運びをする」と宣言していた指揮官の想いに、選手も応える。小林がバント成功で二死二、三塁とすると、すでに今大会のMVPを受賞している柳田悠岐が二遊間をしぶとく破り、2点を追加。菊池涼介も右中間を破る適時三塁打で続き、この回、打者7人の猛攻でメジャー軍団を沈めた。

　二死となっても二、三塁を選択したのは、今大会の活躍で、不動のツートップとなりそうな柳田＆菊池コンビに打順が回るから、という計算もかなりの割合を占めていたことだろう。昨秋の監督就任から節目の10試合目、早くも芽生え始めた指揮官と選手の信頼関係も、有終の勝利へと導いた1つの勝因である。