週刊ベースボールONLINE

2014年ペナントレース総括

楽天 救援陣の誤算と守備の破綻で大失速

 


144試合64勝80敗0分 勝率.444
[ホーム30勝42敗0分/ビジター34勝38敗0分]
[交流戦9勝15敗0分 勝率.375 10位]


◎投手力


 昨シーズン24勝無敗1セーブという成績を残し、まさに無敵だったエース・田中将大のメジャー移籍に伴い、大幅な戦力低下は明らかだった。チームとしても新助っ人を含めて補強に努めたが、悔しさが残る1年に終わった。

 勝ち頭は則本昂大。昨年は15勝で新人王を獲得し、今年も14勝。ポスト・田中として着実に結果を出した。だが右腕以外で2ケタ勝利の投手はゼロ。先発ローテーションでは辛島航が1年間務めて8勝。規定投球回には達しなかったものの、塩見貴洋も8勝をマークして復活を印象づけさせたが、2ケタを勝てる投手が1人では、上位でシーズンを終えることは難しい。

▲チーム唯一の2ケタ勝利(14勝)をマークした則本。2年目のジンクスを吹き飛ばす活躍を見せたのは明るいニュースだった



 助っ人外国人も期待にまったく応えられず。総額2億円(金額は推定)という契約で期待されたブラックリーは3試合登板で1勝2敗。クローザーのファルケンボーグも20セーブはマークしたものの3勝5敗、3日連続での登板が難しく、同点の場面でもろいといった欠点も浮き彫りになった1年だった。

◎攻撃力


 外国人勢の不調が、今季の楽天低迷の最大の要因ともいえる。昨年は全試合に出場して打率.292、28本塁打、93打点を記録し、不動の五番打者として優勝に貢献したケーシー・マギーが退団。代わりにメジャー150本塁打の実績を持つケビン・ユーキリスを獲得したものの、左カカトの違和感で4月下旬に二軍落ちすると、そのまま帰国して退団となった。

 ユーキリスの離脱により、ボウカー、ラッツ、エバンスと立て続けに新しく助っ人を補強したものの不発。打順をほとんど動かさなかった昨年に比べ、今シーズンは日替わり打線を組まざるを得なかった。

 四番は昨年と同様、メジャー434本塁打のA.ジョーンズ。リーグトップの118四球を記録したが、打率.221と走者をかえす四番としてはシーズンを通して物足りない数字に終わった。

 本塁打数もチーム78本塁打はリーグワースト。一発の少なかった打線がチーム成績に大きく影響した1年となった。

◎守備力


 守備では藤田一也が不動の二塁手として今シーズンもゴールデングラブ賞を獲得するなど健在ぶりを披露したが、それ以外は固定できず苦しんだ1年だった。

 藤田とともに鉄壁の二遊間を組んだ松井稼頭央は育成も兼ねた西田哲朗の遊撃起用もあってシーズン途中に三塁手に転向。その後、外野手として左翼の守備を担うなど、流動的だった。

 捕手では絶対的正捕手の嶋基宏がフルに出場できなかったことも大きい。松井稼のケースと同じく、若手育成のために夏場は小関翔太を主に起用。58試合に出場したが、ポジションを奪うことができず、結局シーズン終盤は嶋に落ち着いてシーズンを終えた。

 失策数は66。リーグトップのオリックスの63に次ぐ2番目の成績と、それぞれの守備に大きな問題はなかったといえる。

 だが、昨シーズンほとんど動かさずに固められたチームの根幹を担うセンターライン。それが崩れたことは来シーズン以降に向けての課題の1つとなった。

【2014年の主な達成記録】


▼外野手の連続守備機会無失策更新824=聖澤諒、4月3日対オリックス(コボスタ宮城)
▼交流戦史上最多1シーズン4完封=則本昂大、6月21日対阪神(甲子園)ほか3試合
▼日米通算2500安打=松井稼頭央、8月24日対オリックス(京セラドーム)、プロ野球史上3人目
▼パ・リーグ新記録の個人シーズン最多四球(118)=アンドリュー・ジョーンズ

【はみ出しデータボックス】制球力の向上が則本の奪三振率をアップさせた


 則本が両リーグ最多7度の完封勝ち。シーズン7度の完封勝ちは、89年斎藤雅樹(巨人=7度)以来。リーグでは78年に8度記録した鈴木啓示(近鉄)以来、36年ぶりの快挙であった。9月19日の日本ハム戦で自己最多の13奪三振。昨年1度だけの2ケタ奪三振を、両リーグ最多の7度記録。シーズン204三振を奪い、初の奪三振王でオリックス金子の投手3冠を阻んだ。制球力も抜群に向上した。1試合平均の与四死球は前年の2.70から両リーグ最少の1.73。昨年1度もなかった無四死球試合が、両リーグ最多の5度。シーズン5度の無四死球試合は、87年の東尾修(西武=6度)以来27年ぶりのことである。

 一方で好不調の波が激しかった。5回を投げ切らずに降板が、昨年の1試合から5試合に。7月から8月には5試合連続でクオリティースタート(6回以上を投げ自責点3以下)に失敗した。プロ3年目の来シーズンは年間を通した安定感が求められる。
特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング