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チーム順位は下位ながら、実績を残し、進化を遂げた選手がいる。ここではビッグタイトル獲得者たちによって埋もれてしまいがちな、次代を担う選手たちのその好成績の真相に迫る。彼らの成長を見逃してはならない。


犬鷲の新・エース 則本昂大7完封の秘密


▲気迫あふれる投球でチームを引っ張る姿は、かつてのエース、田中将大に重なる。その背中を超えられるか



 今シーズンの働きが評価の大きさに表れていた。12月3日、仙台市内の球団事務所で契約交渉に臨み、倍増となる6000万円アップの年俸1億2000万円(金額は推定)でサインした。「(金額に)驚きはありますけど、少しだけ大きなことを言うと(プロで活躍)できるとは思っていた。すごくうれしいです」。大台突破でトッププレーヤーの仲間入り。入団2年目としては、アマから直接プロ野球界に入った選手としては最高額となった。

 昨季はルーキーで15勝。2年目の今季は白星1つ少ない14勝に終わったが、確かな進化を遂げた。14勝はリーグ2位。初獲得となった最多奪三振(204)のほか、投球回202回2/3、9完投(無四球5)、7完封はいずれもリーグ最多の成績。昨季は完封どころか完投勝利もゼロだった。それが、2年連続で大役を任された西武との開幕戦(西武ドーム)で6安打1失点のプロ初完投勝利を手にすると勢いに乗った。さらに交流戦では新記録の4完封。1シーズン7完封は、89年の巨人斎藤雅樹以来四半世紀ぶりとなった。

 進化を顕著に表しているのが、四球の数だ。1試合平均で昨季2.70から1.71へと減少。「それは手放しで自分を褒めてあげたいと思う」と自負する一方で、奪三振は7.09から9.06へと上昇。投手に必要な制球力、奪三振能力がともに飛躍的にアップ。四球が減ることで球数が減り、完投へとつながった。さらにはカウントを有利に進める制球力が奪三振へと結びついた。

 それを導いたのは「向上心」。「向上心と覚悟をもって1年間ずっとやってきた。その気持ちの部分が一番大きい」と則本本人も語り、常に満足することなく課題に取り組む姿勢が成長の礎となった。

 シーズンが終わってからも11月に行われた日米野球第3戦で快投を演じた。先発として5回無安打無四球、6奪三振で1人の走者すら許さなかった。自己最速となる155キロも計測。「人生最高のピッチングができました」と無安打無得点リレーの立役者となり、日本にとどまらずアメリカにもその名をとどろかせた。「自信になりました。ただ、シーズン中にやれよと。納会で星野(仙一・前監督)さんにも言われた。本当にそのとおりでそれこそが一番大事」。向上心と手にした自信が、3年目のさらなる進化を生み出していく。


隠れタイトルに秘められた大島洋平の進化に迫る


▲表彰こそないものの、多くの部門で上位の数字を残した大島。来季は複数タイトルの獲得を目指す



 大島洋平にとって、2013年は屈辱のシーズンとなった。WBC代表候補に選ばれるものの、合宿で精彩を欠き、落選。遊離軟骨による左ヒジの違和感もあり、シーズンも打率.248に低迷し、チームは制度開始から初めてCS進出を逃した。

 屈辱を期した同オフに左ヒジの手術を受けて体調を整えると・・・

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