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ロッテでは1度のリーグ優勝、2度の日本一に輝き、第1回WBCでは世界一の座にも就いた里崎智也氏。惜しまれつつも昨年限りで現役を引退した同氏に、マスク越しに見た強打者たちの技術と、その対策について聞いた。

対強打者のリード


「強打者」と聞かれて名前がすぐに思い浮かぶのは、現役では糸井(嘉男、オリックス)や慎之助(阿部、巨人)、内川(聖一、ソフトバンク)、柳田(悠岐、ソフトバンク)……中田翔(日本ハム)もそうですね。強打者をどう定義するかで少し迷い、ホームランバッターやテクニックに長けた選手が混合していますが、そのどちらか、あるいは両方に優れている選手ばかりです。

 彼らに共通していることは、インコースに強いのに、アウトコースを意識していること、これはリードしていて嫌でしたね。プロ野球選手の得意なコース(長所)というのは、意識しなくても打てるところで、苦手なコース(短所)というのは意識すれば打てるところ。つまり「短所=打てない」ではなく、意識していれば苦手なところでも打てるんです。

 キャッチャーからすれば、彼らがインコースを得意なことは知っている。長打もあるし、うかつには攻められない。でも、アウトコースを狙われていたらどうしてもインコースを攻めなくてはいけなくなる。その駆け引きを間違えたらえらいことになる、という難しさがありました。

 中距離打者なら糸井や稲葉(篤紀)さん、内川など。最近、柳田も成長してきてその傾向が出てきたのですが、崩れてもテクニックを駆使して軽打をしてくる。彼らと対戦するときには、何を意識しているのかを察知して、その逆をいくように心がけていました。反対方向を意識しているならインコースを攻めなければいけないというように、駆け引きが重要になってきます。

▲里崎氏が次世代の強打者として名前を挙げたソフトバンク・柳田。その成長ぶりをリアルタイムで感じたという



 一方、パワーヒッターで怖いのは中田翔やおかわり君(中村剛也西武)でしたね。彼らは自分のタイミングでバットを振ってくる。駆け引きももちろんありますが、それよりもいかに自分の形で打たせないかが重要でした。

 対戦するときには彼らのタイミングや軸をいかにズラすかを注意していました。「速い球を待っている」と感じたときには遅い球を投げさせたり、あるいはその反対だったり。フォームやバランスをいかに崩すかが重要です。

 どちらの方が嫌とは一概には言えません。内川のようなタイプは打たれる確率は上がりますが、間違いさえ起こさなければ一発はない。中田翔のようなタイプは打たれる確率は下がりますが、ゾーンに入ってしまえば一発がある。試合展開や場面にもよりますからね。

 両方を兼ね備えた選手というのはなかなかいませんが、ナカジ(中島裕之、オリックス)はそのタイプでしたね。軽打もしてきますし、思いっ切り振ってくることもある。カウントごとにでも切り替えてきていた印象だったのでやっかいでした。狙いを察知するのが難しかったですね。

最もダメな打者とは?


 これは現役時代によくやっていたことなのですが・・・

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