甲子園優勝投手がじっくり歩むエースへの道

　高橋光成の名前は記されていなかった。

　1月19日のスタッフ会議。キャンプの振り分けで、ドラフト1位右腕は二軍にあたるB班の高知・春野行きが決まった。甲子園優勝投手のA班帯同は話題性十分。だが育成に伝統と定評のある球団は、ブレのない決断を下した。高橋も「一軍で通じる体づくりをしたい」と地に足をつける覚悟だった。

　金の卵だから、話題よりも将来を優先させる。群馬出身で同郷の渡辺久信SDは言う。

「手先が器用。オリックスの金子千尋タイプ。ナベQ2世じゃないよ」。本人は剛速球派の日本ハム・大谷翔平を理想像に挙げるが、「10年、15年とエースを張れる」と期待する同SDはオールラウンダーの金子にダブらせている・・・