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最高の補強となったベテラン加入の広島


 昨季1、2位フィニッシュの巨人阪神が順当に優勝争いに絡んできそう。だが、それ以上に台風の目となりそうなのが、緒方孝市新監督の下、24年ぶりの優勝を目指す広島だ。「いい沸騰状態で臨んでくるはず」(巨人・原辰徳監督)、「手強い相手」(阪神・和田豊監督)と、上位2チームは警戒を強めている。

 メジャー・リーグから黒田博樹、阪神から新井貴浩と、かつてのエースと主砲が復帰。戦力的にはもちろん、ここ一番でもろかったチームの精神的な支えとなるベテランの加入は、最高の補強となった。厳しい世界を生き抜いてきた黒田の存在は、若い集団に有形無形の効果をもたらすはず。リーダーシップには定評のある新井とともに、チームを変えてくれそうなムードがある。

▲黒田も復帰して巨人、阪神も警戒する広島。緒方新監督の手腕にも注目が集まる[写真=川口洋邦]



 巨人は今年も、豊富な先発投手陣が原動力となりそう。エースの菅野智之を軸に、杉内俊哉内海哲也大竹寛小山雄輝の5人に、抑えから先発に転向する西村健太朗、156キロ右腕の新外国人マイコラスらが先発ローテーション入りをうかがう。左ヒジを痛めた山口鉄也澤村拓一と新助っ人のポレダなど、未知数のリリーフ陣が不安ではあるが、昨年のような故障者続出という異常事態さえ招かなければ、リーグ随一のスタッフであることに変わりはない。

 野手では、一塁手にコンバートされた阿部慎之助に代わる正捕手が誰に落ち着くか。当面は2年目の小林誠司ヤクルトから移籍した相川亮二らの併用となるが、戦況にどう影響を及ぼすか。

 阪神は、メジャー挑戦を断念した鳥谷敬の残留が大きい。鳥谷に代わって遊撃への転向もささやかれた大和が、昨年までの中堅手としてプレーすることで、センターラインが充実。復活を期す福留孝介西岡剛らベテランに加え、首位打者のマートン、打点王のゴメスらで手堅い布陣を組めそうだ。

 投手陣はメッセンジャー藤浪晋太郎能見篤史、抑えには呉昇桓と実力派がそろっているだけに、課題は救援陣の整備だけ。昨年フル回転した福原忍安藤優也のベテランを押しのけるだけの若手が台頭すれば、シーズンを通じてバランスのとれた戦い方ができそう。

上位をうかがう昨季の下位3チーム


 中日は投手の復活組が浮上のカギを握っている。右ヒジの故障のためにここ2年間でわずか1勝の吉見一起、自己ワーストの防御率6.16に終わった浅尾拓也、17年目の岩瀬仁紀が、どれだけ状態を戻してくるか。福谷浩司又吉克樹らの急成長があれば、チームの苦しい現状を打開できる。若手にとっては、主役に躍り出るチャンスのシーズンと言えよう。

 DeNAは巨人からロペスが移籍。だが、残留に合意したグリエルが、7月に母国キューバでの国際試合に参加するため離脱が予定されている。確立できない打線に加え、昨年12球団ワーストの116失策を喫した守備力をいかにレベルアップできるかがポイント。未知の新戦力なくしては、総体的には上位に食い込むには厳しい状況だろう。

 2年連続最下位からの巻き返しを期すヤクルトは、日本ハムから大引啓次を補強。昨年急成長を遂げた山田哲人バレンティン雄平ら打線は悪くない。投手陣では、ロッテから成瀬善久が移籍。小川泰弘八木亮祐杉浦稔大と、まずは先発ローテーションが組めそう。ケガなどのアクシデントさえなければ、真中新体制で上位をうかがうチャンスがありそうだ。

▲FAで成瀬[写真=井田新輔]、大引を獲得して戦力アップした昨年最下位のヤクルトも上位浮上のチャンスはある

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