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新変化球習得に挑戦中の5人の右腕

 

武器を増やすため、そして投球の幅を広げるため、躍起になっている男たちがいる。実験期間のこの時期、試行錯誤を繰り返している5人の右腕。新シーズンを前に、新たな変化球をマスターする。

楽天・則本昂大
“チェンジ”をテーマに高速シンカーを極める


 さらなる進化を求め、則本昂大の3年目が始まった。沖縄・久米島キャンプ3日目のブルペン投球で、その一端をのぞかせた。64球を投じたうち、フォーク、チェンジアップという既存の持ち球に加えてシンカーを2球、織り交ぜた。

「今年は何かチェンジしていこうと思っている。使えるようであれば使いたいし、投球の幅も広がると思う」と新たな取り組みを明かした。

昨夏に数試合だけ使っていた高速シンカーの完全習得を目指す



 直球に近い軌道を描き、そのまま右打者のヒザ元へと沈んだ。投球がミットに収まると、則本は満足気にうなずいた。昨季後半にも取り組みながら、一度は断念した球種だ。打者の手元で変化すれば、持ち味の力強い直球の威力を増すことになる。習得すれば、効果が絶大。一方で、直球と握りが近い球種への取り組みは、直球に微妙な誤差を生みかねない。もろ刃の剣でもあるが、リスクを冒してでも取り組む覚悟だ。

 昨季チームは最下位に沈みながら、オリックス金子千尋と最後まで最多勝争いを繰り広げるなど、14勝を挙げた。シーズン7完封は球界でも25年ぶりの記録となったが、10敗を喫し、防御率3.08という安定感の欠如が課題として残った。「球種を覚えるのも、精度を上げるのもこの時期ならできる」。今キャンプ中の新球種への取り組みが、克服の1つの手段と考えている。

 変化を求めるのは、自信の表れでもある。15勝で新人王に輝いた1年目のオフは既存の取り組みを継続することを最優先にした。何かを変えることによって、1年目の活躍を無にしたくなかったからだ。だが、2年連続2ケタ勝利を残したことで、変化することへの恐怖が取り払われた。自信が確かなものとなり、もっと成長したい、もっと成長しなければいけない、と探求心に火が付いた。

 楽天キャンプ恒例の朝の声出しでは「開幕投手やります!」と高らかに宣言した。大久保博元監督は、オープン戦中盤まで開幕投手を決めずに辛島航らと競わせる考えだが、大本命であることには変わりない。新人から3年連続の大役となれば、58〜60年の南海・杉浦忠以来となる。「2ケタ勝利もそうですし、続けられるものは続けていきたい」と、こだわりを持って誰にも譲ることなく、大役を務め上げる覚悟だ。

 精神的にも成長を遂げたエース右腕。さらなる高みに上り詰めようとしている。

オリックス・平野佳寿
新たなフィニッシュボール、ナックルカーブで三振奪取


 先発から中継ぎに転向した2010年以降、5年連続で60試合以上登板を果たしている平野佳寿。昨季は10月7日の楽天戦(コボスタ宮城)でパ・リーグ新記録となる40セーブを挙げ、自身初のセーブ王に輝くなどチームの2位躍進に大きく貢献した。しかし・・・

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