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阪神タイガース80周年企画 「レジェンズデー第1弾」レポート

 

当時のアナウンスとともに甲子園のグラウンドに登場した(左から)バース、掛布、岡田の伝説のクリーンアップトリオ。大きな声援に包まれた



30年前の1985年4月17日。甲子園で行われた開幕4試合目の巨人戦。7回裏に、今でも語り継がれる伝説のシーンが作られた。当時阪神タイガースのクリーンアップ、三番・バース、四番・掛布雅之、五番・岡田彰布。3連続バックスクリーンへの本塁打で逆転勝ちし、ここから勢いに乗り悲願の日本一へ突き進んだ日だ。30年後のこの日、阪神創設80周年を記念し、同じく巨人戦の試合前に阪神の「レジェンズデー」の第1弾として、この3人が甲子園に集結し、始球式を行った。
文=椎屋博幸 写真=前島進

3人も観客も興奮した1日に


伝説のクリーンアップがコールされると、どよめきと大きな拍手が沸き起こった。次の瞬間「三番、ファースト、バース!」がアナウンスされる。ライトスタンドからはバースの応援歌がトランペット演奏された。その瞬間、甲子園は30年前の光景がよみがえった。「四番、サード、掛布!」「五番、セカンド、岡田」──アナウンスされ、3人がグラウンドに飛び出した。





試合前には3人での始球式も行われた。華やかに30年前の伝説の日を飾った



 1985年4月17日、対巨人戦の7回裏、1対3、二死一、二塁。バースが打席に入る。巨人のマウンドには槙原寛己。バックスクリーンへ3ランを放ち、逆転。そして、続く掛布も同じくバックスクリーンへソロ本塁打、仕上げは岡田。2人への配球を見て、スライダーにヤマを張り、見事バックスクリーンへソロ本塁打。開幕4戦目ながら、ここから阪神は勢いに乗り、打線が爆発。日本一へと向かっていった。

 それを演出した3人が、阪神創設80周年のメモリアルイヤーの「レジェンズデー」の一環で、30年前と同じ4月17日、巨人戦に登場した。マウンド付近での花束贈呈のあと、始球式を行い、球場の観客もレジェンドたちの登場に沸き上がった。「非常に気持ち良かった。素晴らしい思い出が詰まった3人で始球式ができてクールな気分」と終始笑顔だったバース。「30年経っても大きな声援をもらい、ファンの方たちの思いが強いと感じましたね。バースの名前がコールされて当時の緊張感を思い出し、気持ちが高ぶったね」と興奮気味に語った掛布。「開幕4試合目で優勝できるとは思わんかったけどね。ファンの人たちも覚えてくれてるんやろうな。やっぱりすごいことをやったんだなと思っている」と岡田も当時を懐かしんだ。

 チームで200本塁打以上を放った強力猛虎打線をけん引した3人。彼らの活躍で球団初の日本一をつかみ取った。それが阪神にとって唯一の日本一。当時は球団50年の節目だった。それから30年。しかも今季は創立80周年。当時と同じ節目の年での日本一奪取を3人も期待する。

「あれから30年。それだけじゃダメ。次の伝説を今のチームが作って日本一になってほしい。この3連発がお蔵入りになってしまうようなチームになってほしい」と掛布は期待をかけた。バースは「投手力も良いし、打線もいい。ぜひ日本一になってほしい」とエールを送った。「やはりクリーンアップが打たないと上に行けない。起爆剤のようなものが欲しい」と岡田も発奮を促し、今季の日本一を切に願った。

 強烈なインパクトを残した85年の猛虎打線とバース、掛布、岡田のクリーンアップ。彼らの輝かしい歴史の1ページを、30年後の4月17日の巨人戦でよみがえらせたことで、チームも悲願へ向け、一つになっていくに違いない。

マートン、鳥谷、上本(前列左から)の現役主力が花束贈呈を行った。伝説の3人は30年ぶりの日本一、球団創設80年での悲願達成を願い、彼らにエールを送った



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