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2015変化球特集

五十嵐亮太インタビュー「変化球にも変化が必要」

 


リリーフ一筋に日米通算18年目のシーズンを送るベテラン。年々、進化を遂げていることが長く安定した選手生活を可能にしている。その象徴が現在の主武器・ナックルカーブ。右腕の深い投球理論とともに紹介する。
取材・構成=菊池仁志 写真=湯浅芳昭

2種の変化のナックルカーブ


 ヤクルト時代に石井弘寿(現ヤクルトコーチ)とのコンビで「ロケットボーイズ」と謳われた快速球は36歳となった今季も衰えを知らない。しかし、かつて武器だったフォークに代わり、いまはナックルカーブの使い手としてリリーフのマウンドに君臨している。その武器にも今季、新たなバリエーションが加わった。進化するナックルカーブに迫る。

──試合で使う変化球にはナックルカーブ、カットボール、フォークボールがありますが、ナックルカーブを高い割合で投げています。

五十嵐 カウントを取れて決め球にも使えるのがナックルカーブです。確率が良い球ですからね。

──日本球界に復帰した13年、変化が大きい分、コントロールが難しい球だと語っていました。

五十嵐 そのころよりコントロールは良くなっていると思います。また、今年は曲がりが小さいナックルカーブも投げていて、そちらはより制球もしやすい。バッターの反応を見ながら投げ分けます。

──カウントを取るときは小さく、空振りを狙うときは大きく曲げるような使い分けでしょうか。

五十嵐 そういうことではありません。あくまでバッターの反応を見ながらです。ナックルカーブでも曲がりの山が小さい方は、フォークに近い変化をするので低めにワンバウンドを投げたいときなどに使います。バッターに目の上下のズレを出したいときには山の大きな方を使いますね。視線が一度上がると次の高めの真っすぐが生きたり、その後の小さいカーブが有効になったりします。そのような組み合わせは、考えればいろいろあるものです。バリエーションは多い方がいいですよね。

──ナックルカーブに小さな変化を求めたのはなぜでしょうか。

五十嵐 バッターも慣れてくるんですよ。変化球にも変化が必要で、これまでとは違う曲がり方や鋭さを出したかった。小さく曲がる方がスピードも若干上がりますが、その使い分けをすることでバッターに常に考えさせたいんです。バッターも気づいていない人がいるかもしれないですけどね。

──リリース時の手首の角度で投げ分けるそうですが、その発想に行き着く過程を教えてください。

五十嵐 小さな変化の球が欲しかったんです。僕のフォークボールは波が非常に大きくて、落ちるときはいいけど、そうでないときは使いものにならない。その代わりになる球を考えていたんですが、ほかの球種はイマイチ投げ切れなくて。それでカーブの握りがしっくりしているんだから、この球をアレンジしようと考えました。違う角度でリリースしたら、良い変化をしてくれたので。まだまだ自分のモノにはなっていないんですけど、フォークよりも確率良く、自分のイメージに近いボールではあります。これからさらに質を上げていきたいですね。

──波の大きなフォークの代用となる球種が必要だったわけですね。

五十嵐 フォークの場合、ミスをしたときのリスクが非常に高いんです。ナックルカーブだと必ず変化はしてくれますので、長打になるリスクは低いと感じています。

──しかし、もともとはフォークが主武器でした。

五十嵐 フォークは本当にやっかいなボールで、いまは波が大きい・・・

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