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2015変化球特集

里崎智也が語る「変化球の進化」

 

1999年の入団以来、16年間に渡って捕手として、打者として投手が投じるボールと対峙してきた。里崎智也氏が感じた変化球の進化と、これからの可能性とは。
取材・構成=吉見淳司、写真=中島奈津子



メジャーの影響が大


 今回の特集のテーマは「ボーダーレスの変化球」ということですが、極端なことを言えば、球種自体は以前と比べても、それほど増えていないと思います。多くの球種に関しては、単に呼び方が変わっただけ。例えば、ツーシームはシュートでしょ? というように。

 僕が「これは新しいな」と感じた変化球はナックルカーブとカットボールですね。ナックルカーブは今までにない握りでしたし、カットはスライダーにしては曲がり幅が小さくて、球速も速いまったくの別物でしたから。

 このような名称の変化や流行は、メジャー・リーグからの影響が大きいですね。ツーシームやカットボールはメジャーから取り入れられたものですし、最近よく聞くフロントドア(右投手の場合、右打者なら、体に当たりそうなコースからストライクゾーンにスライダー、カットボールなどを投げストライクを取る。また、左打者ならツーシーム、シンカーを体に当たるようなコースに投げ、そこからストライクゾーンに曲げる)やバックドア(右投手の場合、右打者の外角ボールゾーンにツーシームを投げ、内側に曲げてストライクを取る。左打者の場合にはスライダー、カットボールなどを外角ボールゾーンに投げ、そこからストライクゾーンに曲げる)も、先にメジャーで一般的になりました。

 ツーシームやカットボールが主流となっているのは、変化が小さい方がイメージしやすく、大きく曲げるよりも投げやすいということもあると思います。メジャーからの影響を受ける部分が大きいですし、変化球の流行は今後もメジャーの傾向に左右されそうですね。

 これは日本にいながらでも、新聞や雑誌、テレビなどでメジャーの情報を仕入れやすくなったのが大きいでしょう。僕らが子どものときには、日本の野球の情報すら、巨人以外はほとんどなかったですから。それが今や、日本の全チームはもちろん、メジャーの試合もテレビで見ることができる。ネットもありますし、子どもでも日常的に、さまざまな地域の野球を目にすることができるんですよね。それが変化球にも影響していると思います。

 もちろんプロ野球も大きな影響を受けていますね。チェンジアップやサークルチェンジのような球種もメジャーからのものです。チェンジアップと言えば、ボビー(・バレンタイン)が1995年にロッテの監督に就任したときには、チーム方針として「ピッチャーは全員チェンジアップを覚えるように」と指導していたこともありました。

 ただ、そのころはまだ、真っすぐというのはフォーシームだけを指していました。まだ「ストレートはシュートしてはダメだ」という風潮でした。その後、ツーシームと一般的に言い出すようになったのは、おそらく2005年くらいからだったと思います。

大事なのは名前ではない


 すっかり定着したツーシームですが、今でも、「このボールはツーシームなの? シュートなの?」というところがありますよね。初めの話に戻りますが、これは結局、本人が何と言うかによります。変化球なんて、投げている本人次第で呼び方が変わってしまうものです。例えば・・・

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