今夏の甲子園に出場しなかった有望な選手の中から、選りすぐりの11人を紹介する。まずは注目度の高い創志学園高の高田、横浜高の藤平と履正社高の寺島。さらに、過去に甲子園出場経験のある4人、出場経験のない4人と続く
写真=BBM

高田萌生[創志学園2年/投手]
最速150キロを誇る岡山の“松坂二世”

たかだ・ほうせい/1988年7月4日生まれ/178cm72kg/右投右打/岡山県出身/明徳義塾中



　なめらかな投球フォームは、横浜高(神奈川)時代の松坂大輔(現福岡ソフトバンク)に似ている。そのため「松坂二世」の称号を得た。

　冬場は毎日10キロを走り込み、1年の冬に最速150キロをマーク。きつい冬のトレーニングも、止めなければいつまでもやり続けるほどの努力家だという。178センチ、72キロとまだ線が細く、体は成長途上。しかも下半身のバネは半端ではない。昨秋の50メートルのタイムは6秒4。ところが夏には、あのオコエ瑠偉(関東一)と同じ5秒9に。「短距離ダッシュを繰り返した結果かな」と本人は言うが、簡単に出せるスピードではない。アスリートとしての天賦の才をもっている。

　小学時代は、ソフトボールの選手だった。長沢宏之監督は、アトランタ五輪の女子ソフト日本代表のヘッドコーチを務めた専門家。その目線でも、地肩の強さは一級品だ。

「下手投げでもすごい球を投げます。将来はプロに行って欲しいですね」

　岡山県新見市の生まれだが、「レベルの高いところでやりたい」と明徳義塾中(高知)に進む。しかし甲子園常連校の明徳義塾高の誘いを断り、あえて故郷で2010年に創部したばかりの創志学園を選んだ。

「長沢監督の実績と、何より1年目に甲子園に出たのが衝撃でした。明徳は名門で甲子園に行ける確率は高いと思いますが、自分が地元のチームを甲子園に導き、優勝旗を持ち帰りたい」

　今夏は直球だけに頼らず、緩いカーブや落ちるボールを効果的に使用。決勝までの5試合すべてで先発し、準決勝までわずか1失点。岡山学芸館との決勝も、疲労はあったが7回まで無失点に凌いでいた。しかし8回に3対3の同点にされ、降板。敗戦後、先輩たちと号泣した。

「体力、スタミナ、集中力が切れました。もっと走り込み、メンタル的に足りないところを克服したい」

　精神的にもタフなエースになれば、ドラフト上位候補の逸材だ。

2015夏岡山県大会成績
2回戦 ○12-0笠岡商 4回無失点
3回戦 ○6-0岡山南 8回無失点
準々決勝 ○2-1金光学園 9回1失点
準決勝 ○1-0倉敷商 9回無失点
決勝 ●5-6岡山学芸館 7回2/3・3失点

藤平尚真[横浜2年/投手]
148キロの直球を投げ下ろす大型右腕

ふじひら・しょうま/1998年9月21日生まれ/186cm78kg/右投右打/千葉県出身/富津市立大貫中(千葉市リトルシニア)



　ノーワインドアップから最速148キロのストレートを投げ込み、スライダー、カーブ、フォークを操る大型右腕。中3のころ、すでに140キロ以上の球速を記録し、15U日本代表にも選ばれた。また、そのころにジュニア・オリンピックの走り高跳びで優勝するほど、高い身体能力を誇る。中学時代は球威とスピードに頼り、制球はさほど気にしていなかったというが、高校に入ってからベースの四隅に投げ分ける練習を繰り返し、制球力が格段にアップ。

　今夏は、4安打完封した県大会4回戦の相模原戦がベストゲーム。東海大相模との決勝では、3点ビハインドの5回から登板も、杉崎に3ランを浴びるなど4失点。試合の流れを変えることができず、敗退した。

2015夏神奈川県大会成績
1回戦 ○9‐0光明相模原 5回無失点
2回戦 ○10-0海老名 登板なし
3回戦 ○7-0三浦学苑 1回無失点
4回戦 ○3-0相模原 9回無失点
5回戦 ○6-5藤沢翔陵 3回2失点
準々決勝 ○5-4横浜隼人 2回2/3無失点
準決勝 ○4-3桐光学園 4回2/3無失点
決勝 ●0-9東海大相模 2回4失点

寺島成輝[履正社2年/投手]
大阪桐蔭にリベンジ誓う奪三振左腕

てらしま・なるき/1998年7月30日生まれ/182cm83kg/左投左打/大阪府出身/茨木市立茨木東中(箕面ボーイズ)



　最速148キロの直球を投げ込む本格派サウスポー。箕面ボーイズ時代には世界少年野球大会で優勝している。高1夏の府大会準決勝の大阪桐蔭戦では、2回から8イニングを1失点に抑える快投を見せた(2対6で敗戦)。センバツ準優勝の先輩を押しのけ、1年秋からエースナンバーを背負い、府大会で何度も2ケタ奪三振を記録して、注目を集めた。今夏は2回戦でいきなり大阪桐蔭と激突。事実上の決勝戦と言われ、超満員の大観衆を集めた好カード・・・