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メッセンジャーが語る野球論「シンプルに考えるのみ」

 

2年連続で奪三振王にとなり、昨年は最多勝にも輝いたランディ・メッセンジャー。今季も後半に入りさらにギアを上げ、中4日、中5日のマウンドで阪神を勝利に導くために腕を振っている。負け数が多い今季だが、それでも阪神が優勝するためには、残り20数試合でも欠かせない右腕エースだ。そのメッセンジャーは今優勝争いの中、何を考えているのか――。
取材・構成=椎屋博幸 通訳=栗山正貴 写真=前島進(インタビュー)、BBM 協力=ホテルグランヴィア広島

「自分に勝ちがつかなくても、チームに勝ちがつくような投球をしていく。それがすべて」


 今季8勝11敗(8月31日現在)。5月に屈辱の二軍落ちを味わったが、復活してきた。その後は先発ローテーションを崩すことなく、いやそれ以上に先発陣の負担をすべて受け入れ、二軍にいた時期を取り戻すかのように中4日、中5日で登板をしている。その登板の中でめぐり合わせのため勝ち星に恵まれないが、確実に先発陣の精神的な支柱となっている。真摯にマウンドに上がり続ける男の心中は――。

──激しい優勝争いをしている中、中4、5日の間隔で投げ続けています。満足いく投球はできていますか。

メッセンジャー(以下メッセ) 多くの試合で自分の投球はできているよ。悪くても良くてもしっかり腕を振る。そして、反省して次の投球に備えている。それはどのシーズンでも同じ作業だけど、特に今年は優勝争いをしているので、自分の投球をすることを心掛け、自分に勝ちがつかなくても、チームに勝ちがつくような投球をしている。それがすべてだね。

──先発投手は打線との兼ね合いで、勝ち星数が変わってきます。今年のメッセンジャー投手は、そういう影響を受けていますよね。

メッセ それも野球。阪神で6年目だけど、そういう役回りを僕がしているんじゃない(笑)。まあ、毎年そういう役回りの先発投手がシーズンに1、2人はいる。それが今の僕で、いずれ誰かに代わるだろうと思いながら……まあ安定して毎年僕がその役になっている感じだね(笑)。

──アメリカ人のプレーヤーはよく「This is Baseball(それも野球のうち)」という言葉を使います。それはある意味、精神的な強さにもつながるのではないですか。

メッセ 調子がいいな、と思ってもめちゃくちゃ打たれることもある。調子が悪くても、好投して勝つこともある。また、首位のチームが最下位のチームに大差で負けてしまったり、高校野球の甲子園大会で、春夏連覇するだろうと思っていたチームが負けてしまったりする。それが野球の面白さ、醍醐味だと思うんだ。野球が、みんなに公平に何かを与えているという感じがして、それこそが野球の面白さになっているんだ。

──そういうことを分かっているからこそ、負けが込んでも、マウンドで同じ気持ちで投げられているのではないかと思います。

メッセ 長いシーズンでは調子のいいとき、悪いときが必ずくる。過去のことを引きずるよりも「今よりも明日、明日よりも明後日、自分はもっといいピッチャーになるんだ」と思い投げている。そういうポジティブな気持ちが必要だと思うんだ・・・

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