取材・文=鶴田成秀 一度も負けずに終えた最後の夏。それでも、この左腕に“慢心”の二文字はない。
「甲子園では、うまく内角を突けなかったので、この大会というか、これからは内角をうまく突いていかないと投球の幅を広げられない」
そう語ったのは、一次ラウンド第2戦のアメリカ戦のあと。翌日の先発マウンドを控えた日のことだった。
甲子園優勝投手として、満を持して迎えたU-18ワールドカップ。初先発のマウンドは一次ラウンド第3戦のオーストラリア戦。初回の一死後に、連打を浴びて一死一、二塁のピンチを招くと、相手四番の左打者に外角へ4球続けて投じて、カウントは3ボール1ストライク。続く5球目は“内角”へストレートを投じると、相手打者の詰まった打球が二塁へ飛ぶ。注文どおりの併殺でピンチを脱した。以降は、6回に1安打を許したのみ。6回3安打1失点の好投を見せた。
「ボールを置きにいって打たれたので、腕を振ることを意識しました」
有言実行。内角でピンチを脱した投球も見事だったが、それ以上に驚かされたのは、甲子園では投じなかった“カーブ”を駆使していたことだ。聞けば同じ日本代表の
高橋純平から8月23日の代表合宿合流日に教わったという。
「カーブはもともと投げられたんですけど、抜くようにうまく投げられなかったんです。(県岐阜商と行った)春の招待試合のときに(高橋純のカーブを)見て、気になって。それで投げ方を聞きにいったんです」
吸収力の早さに驚くばかりだが、それ以前に世界舞台、それも一次ラウンドでアメリカに次ぐ“難敵”のオーストラリアを相手に投げてしまうのだから恐れ入る。この強心臓ぶり。同じ代表メンバーの
佐藤世那をも驚かせている・・・
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