週刊ベースボールONLINE

特集・U-18侍戦士 ドラフト逸材の魅力に迫る

最後に立ち込めた暗雲 日本またしても優勝を逃す

 

無念の準優勝に終わった高校侍ジャパン。表彰式で銀メダルを授与された


文=岡本朋祐

心身とも充実した形で幕を開けた今大会


 高校野球を通じ、甲子園は敗者に優しい風潮にある。表彰式でスタンドに残ったファンが大声援を送った。個人タイトルで、侍ジャパン戦士が9部門のうち6部門を独占。オールスターも11人のち5人が受賞した。

■大会オールスター


「日本代表!」とアナウンスされるたびの大喝采が、逆に空しかった。優勝した米国の個人賞はMVP1人、オールスター2人。それだけ日本の戦力は今大会、突出していたのだ。

 またも1点差で屈した。1万5000人のファンがニッポンコール。先頭の四番・清宮幸太郎は初球を打って、左飛に倒れた。期待された怪物1年生は、大会を通じて打率.222(27打数6安打)に終わっている。

「真っすぐ一本で待っていたんですが、難しいコースでもないし、ミスショットという感じで、この大会を象徴とする打席となってしまった」

 後続2人も凡退、1対2で敗れた。アメリカは3連覇。日本は2年前に続いてライバルに悲願を阻まれて、準優勝に終わった。

日本とは対照的にアメリカ代表は優勝の瞬間、喜びを爆発させた



 前回大会に続き、U―18侍ジャパンを率いた西谷浩一監督(大阪桐蔭)は無念を口にした。

「大会を通じて選手はよく頑張ってくれた。その頑張りを勝ちの喜びにしたかったので、非常に残念です」

 日本高校野球の聖地で負けるわけにはいかなかった。西谷監督は宿敵・米国との決勝前日に「球場の力も借りながら、世界一に上り詰めたい」と、決意を語っていた。当然ながら、完全ホーム。観衆の後押しがあったわけだが、今大会唯一の黒星が日本の夢を打ち砕いてしまった。

 2年前の屈辱、そして地元開催初優勝──。これが今大会の最大であり、唯一のテーマだった。2013年9月7日。西谷監督率いる高校日本代表は米国との決勝で2対3と惜敗した。中2日でエース・松井裕樹(桐光学園―現楽天)を立てたが、逆転負け。バッテリーを組んだ主将・森友哉(大阪桐蔭―現西武)は、甲子園でも見せなかった涙を流した。

「日の丸を着けてプレーする責任がありました。桐蔭は学校単位ですが、日本代表は日本全体からの期待を背負っている。今まで成し遂げていない優勝をしたかったが、残念」と悔しさをにじませた。

 初めて日の丸を率いた西谷監督は、無念の銀メダルに「天と地の差」と、2年前を回顧する。歴代9位の甲子園通算36勝利と“平成の名将”は春夏を通じて甲子園で計4度の決勝へ進出しているが、すべて大優勝旗を手にしてきた。頂上決戦で初めて味わった敗北感……。

 今年の3月20日には、前回大会に続く代表監督の就任が発表され、力強いコメントを残している。

「決勝のアメリカ戦で惜敗した悔しさは忘れておりません。その思いを胸に、今年の高校日本代表チームで悲願の『世界一』を勝ち取りたい」 悲願の世界一を念頭にしてメンバーをセレクト。「同じ活躍ならば、3年生を優先する」のが原則だったが、2本塁打8打点と4強入りに貢献した早実の1年生・清宮幸太郎は、この“内規”を打ち破ってしまうほどインパクトがあった。日本高野連・竹中雅彦事務局長は「清宮君は世界一を狙う上で、最強20人の一人にふさわしい」と説明し「話題性ではない。実力で選んだ」と付け加えた・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング