ロッテ時代の2005年は2位から、そして10年には3位からポストシーズンを勝ち上がって日本一を経験した里崎智也氏。下克上の体現者に短期決戦で栄冠をつかむための術を語ってもらった。 取材=斎藤寿子、写真=BBM
※このインタビューはセ・リーグの3位決定以前に行われたものです。 下位のチームはノーリスク・ハイリターン
――いよいよクライマックスシリーズ(CS)が始まりますが、短期決戦の戦い方の極意を教えてください。
里崎 まず言えることは、順位が下のチーム、ファーストステージであれば3位、ファイナルステージであればファーストから上がってきたチームは、「勝ちたい」という欲を出さないことです。だって、力がなかったからレギュラーシーズンで優勝できなかったわけで、実力的に言えば負けて当たり前の状態なんですからね。逆に言えば、負けても失うものはないんです。よく「ローリスク・ハイリターン」と言いますが、下位のチームは「ノーリスク・ハイリターン」ですよ。
――リスクはないと。
里崎 はい。特に3位チームに関しては、ファーストでもファイナルでも負けたってどうってことない。だって、そもそも3位なんですから。でも、勝ったらリターンは大きいですよ。
――2010年、里崎さんのいたロッテは3位からCSを勝ち上がって、日本一にまで登り詰めました。
里崎 あのとき、僕は「勝ったらラッキー」くらいにしか思っていませんでした。
――よく「勝ちたいという気持ちが強い方が勝つ」と言いますが、それとは逆の発想ですね。
里崎 僕、そもそも「勝ちたい」という思いが強い方が負ける、という考えなんです。余分なプレッシャーがかかって、実力を発揮できないですからね。
――「勝ちたい」と思ってはいけないと。
里崎 もちろん、誰だって「勝ちたい」と思っていますよ。自然とそう思うんですから、わざわざそれを前面に出す必要はないということです。自分を苦しめるだけですからね。僕からすれば、緊張とかプレッシャーって、欲と不安の表れなんです。例えば・・・
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