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特集・2015ドラフト総決算
オリックス5位・吉田凌「小笠原と1対1の真剣勝負がしたい」

 

文=上原伸一、写真=高塩隆

ターニングポイントとなった対平塚学園高戦


「自分の名前が挙がったときは頭が真っ白になりましたが、今は正直、ホッとしています。これでスタートラインに立てたと思っています」

 オリックスに5位指名された後の会見で吉田凌はこう心境を吐露した。互いに高め合ってきた小笠原慎之介が1巡目の2回目の指名で中日日本ハムの2球団から指名されたのに対し、吉田は5位という評価だった。

 だが1年前――。世代の先頭を走っていた投手は小笠原ではなく、吉田だった。昨夏の神奈川大会では5試合に登板し、17回2/3を投げて39奪三振。決勝の向上高戦では最速151キロの伸びのある直球と、1年秋に桐光学園高時代の松井裕樹(現楽天)の映像を参考に習得したという「タテスラ」を駆使し、大会タイ記録となる20奪三振をマーク。準決勝で敗れたその秋の神奈川県大会でも、背番号「1」は小笠原に譲るも準々決勝、準決勝と大事な試合では吉田が先発のマウンドに立っている。

 吉田にとってターニングポイントになったのが、この2年秋の県準決勝、平塚学園高との試合だった。吉田は延長12回二死まで2失点に抑え(自責は0)、13三振を奪う力投。しかし宝刀「タテスラ」を痛打されてサヨナラ負け。吉田は「いくら三振を取っても負けたら意味がない。勝つ投球をすることがいいピッチングだと悟った」という。では勝つためにはどうするか――。吉田は持ち球の精度を高めつつ、投球スタイルを変えた。三振を奪うこだわりも捨て、コントロールを重視。その結果、今夏の甲子園、聖光学院高とぶつかった初戦では、2奪三振ながら、8回1/3を4安打1失点でまとめる“大人の投球”を披露。球数はわずか86だった。その代わり、直球は130キロ台後半にとどまり、ややこじんまりした印象も与えた。それが今回のドラフトの評価につながってしまったところもあったかもしれない。

 そんな吉田を門馬敬治監督は「横浜高との神奈川大会準決勝で(5回無失点と)好投した1年夏といい、吉田は小笠原より先に出てきた分、さらなるものを求める苦しさを味わってきたと思います」と擁護する。

 ただ、その一方で門馬監督は

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