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特集・2015秋季キャンプレポート
阪神・金本知憲監督「ガラリと変わってくれた選手もいた」

 

チーム全体の改革を託され就任した金本知憲監督。秋季練習、秋季キャンプからこれまでの阪神にはなかったような練習メニューを取り入れ、選手たちはクタクタになるまで練習している。さらに今までになかった選手たちの大きな覇気のある声と笑い声が安芸の空に響き渡っている。
写真=内田孝治



金本知憲新監督が掲げるチーム構想


・すべての意識を変える
・打者は常に強く振ること
・個々の課題を徹底的に続けさせる

口酸っぱく、しつこく意識を変えていく作業を


 バックスクリーン横の出入り口から、金本知憲新監督が高知・安芸タイガース球場に入った。外野芝生をバックネット方向へ歩くと、観客席から「アニキ!」「おかえり!」「頼んだぞ!」などと、次々と声がかかった。手を上げて応えると、大きな拍手が起こる。11月1日午前9時40分。チーム再建に向けた秋季キャンプがスタートした。

「すべての意識を変えていく」

 こう宣言した新監督は初日からいきなり鬼になった。ウオーミングアップ後の最初のメニューは、昨年まではなかった実戦的な盗塁練習。以前は投手役をコーチらが務め、投球動作に合わせてスタートを切るだけだったが、これを変えた。バッテリーは現役選手。「投手にとっても、捕手にとっても練習になる」と、まさに真剣勝負を繰り広げた。

 アニキの怒声が響いたのはこの練習中だ。コーチの指示に大きな返事を返さなかった投手を「返事!」と一喝。実は、練習開始前の円陣で、ナインに「あいさつ、返事は大きな声で」と話したばかりだった。「話してから1時間もたっていないぐらい。小学生じゃないんだから」。カミナリが落ちると、グラウンド内の緊張感は、いっそう高まった。

 午後からの打撃練習、特打のメニューや時間は、昨年までと大きくは変わらない。しかし、江越大賀が「疲れました。振る体力がない。バテました」と話したように、選手たちはクタクタになった。鉄人監督は「ちょっと(力を)抜いたら怒っている。『代わりに俺が打つよ』って」と、強く振ることを徹底しており、気を抜くことは一切できない。「選手たちは僕らが言ったことも、時間がたつと忘れることが多い。こっちは口酸っぱく、しつこいぐらい言っていきたい」。意識する部分は何度も繰り返し言い聞かせる。例年は練習後に外食する選手も多いが「外出する余力がない」と口をそろえ、宿舎の夜のロビーは、選手の出入りもなく静まりかえっていた。

打者には強く振ることを要求。金本監督自らも打撃指導を行っている



 野手だけでなく、投手陣の投球練習にも厳しい目を光らせた。自らブルペンの打席にも立ち、球筋をチェック。「現役時代に戻ったつもりでタイミングを取って」と、バッター・金本が本気の勝負を挑むように構え、テークバックした。

 ボール球が先行すると「おい!」「ど甘!」、低めに決まったかに見えるフォークにも・・・

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