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特集・今年生まれた10の記録 その真相に迫る!
OB対談 平野謙&川口和久が語り尽くす!2015年プロ野球

 

2015年は群馬ダイヤモンドペガサスのコーチを務め、16年は監督を務める平野謙氏。韓国球界での指導歴もあり、12、13年は中日の一軍外野守備走塁コーチを務めた。一方、川口和久氏は11年から4年間古巣巨人の投手コーチを経験している。2人が今季のさまざまな数字を参照しながら、ペナントレースの戦いを振り返る。
取材・構成=池田晋

「交流戦の日程が詰まり、強弱がハッキリと出た(川口)」


――まずは今年のセ・リーグを振り返ってもらえますか。

平野 ヤクルトには悪いけど、あの投手力を考えると、優勝は予想していなかった。

川口 僕もしませんでした。去年最下位ですもんね。チーム打率が1位の.257で高いけど、失点が518点とリーグで3番目に多い。リードしているゲームでも逆転されるパターンが多かった。真中満監督に代わって、バーネットを抑えにして、中盤から後ろが強くなった。先発が弱くて前半に失点するけど、何とか後半に逆転して勝つ。先発から中継ぎの流れを良くすることで、勝負を終盤に持っていけたのが良かったと思います。

平野 今年はほかの5球団の投手があまり良くなかったから“打のほう”で勝った。川口さんは、ヤクルトのことを優しく話しているけど、実際はたまたま最後にいいところが出て、ほかがコケてくれた。簡単に言えば、そんなところ。

川口 DeNAが前半戦を盛り上げましたね。若手中心だったところに、後半の崩れがきたと思います。

平野 一番は交流戦。DeNAだけでなく、セ・リーグ全部が負けた。それから1、2、3位が勝率5割前後というおかしな状態。ヤクルトは頑張ったけど、「セ・リーグ全体は何をしていたんだ!」と言えるよね。



川口 パ・リーグのように抜きん出たチームがなかったですね。

平野 そういうこと。前評判の高かったチームが低調だった。巨人は、なぜ打てないのかと疑問が出る。来年は圧倒的な強さを見せないと、ほかの5チームが燃え上がらないよ。打倒巨人を掲げる5チームという野球がずっと続いてきた。巨人をつぶすためにみんなが努力する。でも今年は、つぶそうとする相手が上がってこないから、みんなどこをつぶしていいか分からなくなった。

――交流戦でこれまでと違った点は。

川口 試合数を減らしましたよね。3連戦を3週間戦って終わりました。前は日程に余裕があったからいい投手を使えたけど、今年は通常のリーグ戦と同じ流れで12球団の強弱がハッキリ出ました。交流戦に入る前のDeNAは29勝19敗だったけど、貯金を全部使い果たした。そこからリーグ戦がリ・スタートとなり、ダンゴ状態が最後まで続きました。

平野 でも、実際は故障者、調子の悪い選手がたくさん出て、セ・リーグのチームはマイナスからのスタートになった。

川口 6月30日時点で首位から6位まで6ゲーム差。平野さんは「ほかがコケただけ」というけど(笑)、抜け出したヤクルトは破壊力がありましたね。

平野 確かに野性味があったもんな。

川口 特に山田哲人。彼は本塁打を打つし、足も速い、新しいタイプの選手です。今年は多くのベテランが引退し、彼のような新しい選手がどんどん出てきて野球が変わってきた。新時代を迎えようとしています。監督も40代ばかりですから。

平野 真中監督でなければ山田のトリプルスリーはなかったね。

川口 ファーム時代から選手たちを見ている真中監督が、彼らをうまく操りながら優勝まで持っていった。

ヤクルトというチームの中でチャンスをつかみ、真中監督による起用法によって、山田は才能を開花させたと2人の意見は一致している



平野 山田が巨人にいたら最初は一番か下位打線だよね。そうなると出塁重視の打撃になるから、間違いなく今年のようには本塁打は出ない。

川口 確かにそうですね。

平野 今年はよくソフトバンク柳田悠岐と比較されたね。柳田はあの豪快なスイングを、そのまま生かして大きく育てるのが球団の狙いだった。山田はそういう指示はおそらくなかったはず。まず最初に足が速い、内野を守れるというところを見られるから、つなぐバッターになる可能性が高かったと思う。それを三番で自由に打たせたのは、真中監督の功績だな。

――阪神も一時優勝かと騒がれた時期がありました・・・

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