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特集・2016春季キャンプレポート
ソフトバンク・パワーアップした「超熱男」たちが始動

 

写真=湯浅芳昭、内田孝治

キャンプイン前日の1月31日には宮崎市内で歓迎パレードが行われた。松田、攝津、柳田が「熱男」ポーズを決める



ベテランも安泰でない、シ烈な競争


「われわれの目標は3連覇。日本一に向けて戦っていく」

 高々と宣言している工藤公康監督が率いる最強軍団・ソフトバンクが2月1日、宮崎春季キャンプをスタートした。メジャー挑戦の可能性を探りFA宣言したものの残留した松田宣浩のほか、トリプルスリーの柳田悠岐、打撃職人の内川聖一、3年連続ゴールデン・グラブの今宮健太……投手では5年ぶりにチームに復帰した和田毅、平成の怪物・松坂大輔、エース・攝津正、キャンプ地・宮崎が出身の若手のホープ・武田翔太と超豪華な顔ぶれ。一軍に該当するA組と二、三軍に当たるB組の全選手が一堂に会して、開幕への準備を進めている。

「練習は厳しいですが、その中でも開幕に向けて準備をしていく。ケガや故障でプレーできなくなることが一番大きな戦力ダウン。そこには気を付けながら鍛えていってほしい」と工藤監督。

3年連続日本一を目指してキャンプをスタートしたソフトバンクナイン。開幕へ向けた過酷な競争が始まった



 柳田、松坂、大隣憲司といった手術明けの選手はコンディションを優先してB組でのスタート。ただ、A組に配された選手たちにとっては、開幕メンバー入りに向けたサバイバルの幕開けだ。

 一番の激戦は先発の6枠をめぐる争い。昨年のメンバーからスタンリッジ(ロッテ)が抜けたが、かつてローテーションの軸として活躍した和田が加わった。工藤監督は「一番は実績。そこで若手と横一線ということはない。あとはオープン戦など、実戦を見ながら」と語るが、その言葉の裏を返せば、実績があっても結果で示せなければ、ポジションは安泰ではなくなるということ。メンツが豪華な分、競争は激しい。

自己変革で図るチーム力アップ


 キャンプ初日、A組に配された20投手中、バリオスと未合流のサファテを除く18人が早速ブルペン入りした。和田も捕手を座らせて28球のピッチング。「初日なのでバラついたところはありましたが、まあまあ。バラバラだったところはこれから修正していく」とまずまずの滑り出し。変わらない流麗なフォームで、「ローテーションを守って、2ケタは勝ちたい」という目標に向かう。

キャンプ初日からA組投手、20人中18人がブルペン入り。ハイレベルな投手陣がバトルを繰り広げる



 その和田のほか、昨季、9勝無敗のバンデンハーク、5年連続2ケタ勝利の攝津、昨季のチーム最多勝・武田、移籍以来、2年間ローテーションを守り続ける中田賢一と先発の枠は埋まっていく。東浜巨岩嵜翔千賀滉大と目の色を変える若手もひしめき、B組スタートとなった松坂、大隣、寺原隼人のベテランも初日からブルペンに入ってアピールした。この競争が「3連覇」を宣言できる根拠だ。

 また、野手のポジション争いもヒートアップしている。特にセカンドは昨季チームトップの64試合を守り、「今年はセカンドのポジションを自分のモノにする」と意気込む明石健志を筆頭に、ポジション奪回を目指す本多雄一、移籍3年目の川島慶三、若手の高田知季と多士済々。いずれもユーティリティー性の高い選手たちだが、「できるなら一つのポジションで試合に出続けたい」(明石)という思いは共通のものだろう。

 外野も内川聖一を一塁にコンバートすることで中村晃を左翼、柳田を右翼に回し、中堅で3年目の上林誠知を起用する案が浮上。2月1日時点で李大浩の去就が定まっていないが、抜けた場合でも13年の首位打者・長谷川勇也を指名打者で起用できる。吉村裕基福田秀平江川智晃、カニザレスも外野、もしくは指名打者の枠を奪おうと、目の色を変えている。

 李大浩以外は2年連続日本一を達成した昨季のチームからメンバーに大きな変わりはない。ただ、変化がなければチームは停滞する。

「ポジションに争う相手がいれば、負けられないと思って頑張るだろうし、競争しながら、それぞれが成長してくれればいい」

 それが工藤流のチーム育成術。チームに動きを与えることで、それを刺激とし、進化を期待する。今年の化学反応はどんな結実を見せるだろうか。

気になるあの人は!?〜今年はひと味違う!松坂大輔



 昨年、一軍登板なしに終わったとはいえ、スターはスター、注目度はNo.1だ。松坂大輔がソフトバンクで2年目のシーズンをスタートさせた。右肩の手術明けであることからB組に組み入れられたが、初日からブルペン入り。トータルで80球、捕手を座らせても50球を投げ込み、白球は順調さを物語る軌道を描いた。キャンプに先駆けて、福岡の球団施設で自主トレを行った際には、「去年は何もできなかった。今年は先発の競争に入っていく」と強い意思を口にした。

「連投は止められているので」と、1日置きの投球になるが、早い段階でアピールしていく心構えだ。「こんなに(右肩の)状態がいいのは久しぶり。メジャーに行った年(07年)くらいの出来」。昨年8月18日の手術から驚異の回復を見せている平成の怪物。今年こそ、その雄姿が再び見られるはずだ。
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