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田中将大 一安心もオフに強化へ

 

復帰登板は70 球を投げ1失点の内容を残しチームも本人も安堵したが、2戦目は2回KOで今季終了。来季への雪辱を誓った



 9月21日、ニューヨーク。75日ぶりに戦いの場に戻り、6回途中を5安打1失点。80日ぶりに13勝目を挙げた田中将大は、安堵の表情を浮かべていた。

「久しぶりでしたけど、なかなか良かったんじゃないかと思います。2カ月以上投げていなかったですが、あれだけ制球がまとまっていたというのは良かったと思います」

 70球を投げ、ストライクは48球。ストライク率.686は故障前の.675を上回り、無四球のおまけもついた。そして、何より登板まで抱き続けてきた右ヒジへの不安にも、ある程度の答えが出たことで見通しが明るくなった。

「思っていたよりは自分の体のことは考えずに投げられた。そういう心配する部分はだいぶ軽減するのではないかと思います」

 最速は93マイル(約149キロ)。勝負どころではスプリットを4球連投し三振も奪った。1球投げるごとに右ヒジへの不安は少なくなり、中盤以降は恐怖感も薄れていった。その上で手繰り寄せたチームの勝利。それが田中には何よりもうれしかった。

「自分の右ヒジの状態を確認しながら、しっかりとチームの勝利を引き寄せられる投球をしたかった。そういった意味でほとんどそこはクリアできた。そういうふうに思います」

 復帰戦では自己想定を上回り、戦いの場に戻った喜びと右ヒジの不安が軽減したことを喜んだ。だが、たった1試合ですべての答えが出たワケではない。球数もわずか70球。中5日の間隔を明け、2戦目のマウンドで右ヒジはどんな反応を見せるのか。そこを確認したいのは首脳陣も田中も同じだった。

 9月27日、今季最終登板。だが、田中の制球は乱れに乱れた。メジャー最短降板となる1回2/3。失点も最多となる7。80から85球をメドと話していたジラルディ監督はわずか50球でマウンドから降ろした。ストライクはわずかに25球。ストライク率.500の原因はどこにあるのか。報道陣は色めき立ったが、田中は右ヒジの問題ではないと言い切った。

「(右ヒジは)大丈夫です。投球内容は良くなかったですけど、体の部分では大丈夫なんじゃないかと思っています。(制球が乱れた原因は)ここで言えることはないが、自分では思うところはあります。シーズン最後の登板がこういう形で終わって悔しい」

 メジャー1年目は13勝5敗、防御率2.77。田中は今季以上の成績を誓い、オフの強化を口にした

文=笹田幸嗣 写真=AP
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