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復活!セトヤマ雑記帳

オリックス球団本部長が語る大補強の内幕と今季への思い

 

高まる活気――。今年から一軍キャンプが宮古島から宮崎へと移ったオリックスだが、例年以上の熱がグラウンドに渦巻いている。昨年2位と躍進、さらにオフには中島裕之小谷野栄一など大補強を敢行。一躍、優勝候補と注目を浴びているから当然だ。19年ぶりの歓喜は現実味を帯びているが今回、かつてロッテ球団社長時代に「セトヤマ雑記帳」を連載していた瀬戸山隆三球団本部長に大補強の内幕、日本一への思いなどをつづってもらった。

 2015年もキャンプインし、新たなシーズンが始まりました。オリックスにお世話になって3年目、球団本部長になってからは2年目となります。昨季レギュラーシーズン2位に入り、オフに中島裕之内野手らを獲得したことで、今季はパ・リーグで最も遠ざかっている1996年以来の優勝へ、ファンの方々やメディアの期待の大きさを肌で感じています。

補強ポイントは「実績ある内野手」の一点


 レギュラーシーズン制覇を勝率2厘の僅差で逃した14年は、ソフトバンクを2勝上回り、リーグ最多の80勝を挙げました。ところが、前年のオフは李大浩(ソフトバンク)、アーロム・バルディリス(DeNA)両内野手との契約を更新できないなど、チーム編成は後手に回っていました。2位躍進はひとえに、チームの奮闘によるものでした。

 その反省を踏まえ、このオフは「先手の補強」をテーマに掲げました。優勝争いまっただ中の昨年9月には15年のチーム編成の青写真を描き、意中の選手との交渉が解禁されれば即座に動けるよう準備を進めました。何より宮内義彦オーナーや西名弘明球団社長に、われわれのプランを即断即決で承認していただいたことが大きかったです。球団全体が15年の優勝へと同じ方向を向き、意思決定から行動までが迅速だったからこそ、他球団との獲得競争に勝ることができたと思っています。

 補強のポイントは「実績がある内野手」の一点に絞りました。エースの金子千尋投手の残留は大前提でしたが、投手陣はソフトバンクに十分対抗する力があると見ていたからです。特に救援のタイトルホルダー、佐藤達也平野佳寿両投手らを擁するリリーフ陣は球界トップクラスとの自負がありました。

 一方、伊藤光捕手と投手陣、バッテリーは若いため、リーダーシップを備えていることも条件でした。中島内野手、小谷野栄一内野手のほか、獲得には至りませんでしたが、川崎宗則内野手(ブルージェーズとマイナー契約)、大引啓次内野手(ヤクルト)を重点的に調査しました。その中から入団にこぎ着けた中島、小谷野両内野手はともに西武日本ハムで優勝経験があり、昨季優勝を逃した一因となった優勝経験の乏しさが弱点のチームには有形無形の財産をもたらしてくれると期待しています。

 四番を任せられる外国人選手ではキューバ選手とともにトニ・ブランコ内野手をマークしていました。昨季、ソフトバンクから移籍したウィリー・モー・ペーニャ内野手は前半こそ奮闘したのですが、後半にもろさが目立ち、チームの息切れの一因となりました。それだけに中日、DeNAで複数のタイトルを獲得したブランコ内野手の存在感は魅力でした。

 これらの補強と同時進行の形で、金子投手とは残留交渉を重ねていました。条件面だけなら、ほかに魅力的な球団はあったことでしょう。私は国内他球団との争奪戦を繰り広げる中、金子投手に優勝への思いを率直に伝えたつもりです。そして「オリックスの補強のフィナーレはエースの残留なのだ」とも訴えました。

 結果的に金子投手はオリックスを選んでくれたので、球団の今季に懸ける思いが伝わったのだと、たとえ条件面で劣ってもオリックスで優勝したいとの思いを分かち合えたのだと思いました。オフに右ヒジ手術を受けたことでシーズンを通じての活躍を危ぶむ声もないことはないですが、私は金子投手の残留の経緯を思い出すたびに、心配は無用だと思えるのです。

金子の残留もチームにとって大きい。オフに右ヒジを手術したが、問題ないと踏んでいる



挑戦者として戦い、内部でも切磋琢磨


 オフの補強で、一気に周囲のオリックス優勝への期待感が高まりました。それ自体は結構なことだと思っています。プロ野球で期待されることは非常に大切なことで、またその中で結果を残すこともプロの醍醐味でしょう。

 しかし、補強が終わっただけで浮かれることはできません。ペナントレースへのスタートラインについたどころか・・・

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