侍ジャパン常連組&開幕投手候補選手たちの招集免除、そして新戦力発掘を望む小久保裕紀監督の意向もあり、現体制になってから初めての代表入りを果たしたのがこの6選手だ。 ※年齢は代表選出時点 又吉克樹[中日]
稀有な外国人キラー
投手では初めて、独立リーグから日本プロ野球界の頂点にまで上り詰めた。小久保裕紀監督は選出の理由を「外国人に強い印象があった」と語り、昨秋の日米野球の代表候補に挙がっていたことを明かした。
昨季は
ヤクルト・
バレンティン(9打席)、
DeNA・グリエル(6打席)、ブランコ(現
オリックス、5打席)、
阪神・
マートン(6打席)、
広島・
エルドレッド(4打席)をそれぞれ無安打に封じ込めた外国人打者キラー。計30打席で7三振を奪うなど、右サイドスローから投げ込むストレートとスライダーで並み居る強打者を沈黙させた。
昨年オフにはドミニカ共和国の国内リーグにも参戦。約1カ月半の滞在で計17試合に登板しており、国際試合の経験も心配ない。「初めて日本代表という肩書で野球ができて光栄」と語った
又吉克樹。抑えには
ロッテ・
西野勇士、
巨人・
澤村拓一が控えているため、両者につなぐセットアッパーとして、勝利の方程式を担うことが期待されている。
■1990.11.4生=24歳
■180cm74kg/右投右打
■沖縄県出身=西原高-環太平洋大-四国IL/香川-
中日14年2位
■14年成績=67試合、9勝1敗2S24H、防御率2.21
松井裕樹[楽天]
待望される若き左腕
昨年の日米野球終了後に小久保裕紀監督は「チームにもう1枚左腕が欲しい」と構想を明かしていたが、その筆頭候補となりそうなのが最年少の19歳で初選出となった
松井裕樹だ。高校時代に日本代表の経験はあるが、トップチームでは初の代表入り。会見では「持ち味は真っすぐと変化球で空振りを取れるところです。欧州代表と真っ向勝負で三振をたくさん取りたい」と意気込んだ。
2年目の今シーズンは久米島キャンプから好調を維持。オフのフィジカルトレーニングの成果で体も大きくなり、自慢の真っすぐにもさらに力強さが加わった。その成長に目を細める
楽天の
大久保博元監督は「週1日しか投げない先発ではなく、毎日いてほしい。優勝するための戦略」と松井裕の中継ぎ、抑えへの大胆なプランも示唆。それに同調するように小久保監督も救援での起用を明言した。この舞台で新境地を切り開きそうな左腕はどんなピッチングを見せてくれるのか。侍投手陣にまた1人頼もしい新戦力が加わった。
■1995.10.30生=19歳
■174cm74kg/左投左打
■神奈川県出身=甲桐光学園高-楽天14年1位
■14年成績=27試合、4勝8敗0S3H、防御率3.80
會澤翼[広島]
8年目に花開く打てる捕手
今季のレギュラー捕手定着が現実味を帯びる
會澤翼にとってはうれしいニュースとなった。
「初めての侍ジャパン選出なので、ほかの代表選手のプレーを見て、コミュニケーションを取って、勉強していきたいと思っています。自分の持ち味を生かせるようにしっかり準備して臨みたいです」
トップレベルでの経験も、今季の飛躍に結び付ける決意だ。
昨季は65試合に出場し、60試合でマスクをかぶった。その中で10本塁打、打率.307の成績を残し、「打てる捕手」として期待が高まる。一方で優勝争いが過熱する9月に右太ももの肉離れで戦線を離脱した悔しい思いもある。結果的に會澤を欠いたチームは、巨人にゲーム差を一気に引き離され、優勝戦線から離脱した。
「レギュラーで1年間戦って、12球団一の防御率にしたい」
高い志を持って臨む今シーズンの景気づけに、會澤翼の名を世間に知らしめる。
■1988.4.13生=26歳
■177cm91kg/右投右打
■茨城県出身=水戸短大付高-広島07年3位
■14年成績=65試合、55安打10本塁打30打点、打率.307
雄平[ヤクルト]
30歳のフルスイング
30歳にして自身初の代表選出に笑顔がこぼれた。
「夢のようです。自分がそこに入るとは想像していなかった」
2月16日に行われた代表発表の際に小久保裕紀監督は「実力の分かっている選手は招集せず、若い選手にチャンスを与えようと考えた」と
ソフトバンク・
内川聖一、オリックス・
糸井嘉男らをあえて選出しなかったことを明かしたが、若手が多い中で、
雄平の名も挙がった。実は昨秋の日米野球の代表選考の際にも最終候補まで残っていたそうで、春季キャンプの視察に訪れた際にはそのフルスイングを高く評価し、「最近は振るヤツが少ないから魅力的」と話していた。
今季、チームの四番にも指名されており、20日時点の練習試合3戦で毎試合安打を放つなど充実したキャンプを過ごしている。打者転向5年目の昨シーズン大ブレークを果たした苦労人に訪れた朗報。「失うものは何もない。勉強になると思うし、とにかく100パーセントの力を出したい」とフルスイングでの活躍を誓った。
■1984.6.25生=30歳
■174cm83kg/左投左打
■神奈川県出身=甲東北高-ヤクルト03年1位
■14年成績=141試合、173安打23本塁打90打点、打率.316
澤村拓一[巨人]
クローザー候補に急浮上
大学時代から日本代表の常連だった。2013年の第3回WBCにも参戦し、侍ジャパンはその時以来の復帰となる。巨人では今季は覚悟のリリーフ転向で目下のところ、
マシソンとクローザーの座をかけたポジション争いを展開中だが、この評判がすこぶるいい。春季キャンプを視察した指揮官もブルペンで仕上がりの早い剛腕を目撃。150キロを優に超えるストレートと、強い精神力で、外国人を力で圧倒できる稀有な存在と期待して、クローザー候補に急浮上させた。
■1988.4.3生=26歳
■183cm98kg/右投右打
大島洋平[中日]
復帰でリベンジ
大島洋平にとって侍ジャパンは苦い記憶かもしれない。13年の第3回WBCでは選考合宿に臨んだものの、左ヒジ痛のためにメンバーから外れた。しかし昨年は球団タイ記録となるシーズン186安打を放ち、ゴールデングラブ賞受賞と攻守に活躍。今度こそ万全な状態で、栄えある代表ユニフォームに身を包む。春季キャンプを視察した小久保裕紀監督は「チームで一番輝いている」と活躍を確信。それを受けた大島も「走攻守で求められるプレーをしたい」とリベンジを誓う。
■1985.11.9生=29歳
■176cm74kg/左投左打