選手としても監督としても、ビッグシーズンを迎えようとしている。昨季、球界では7年ぶりとなる選手兼任監督としての1年を過ごした谷繁元信。しかし結果は個人、チームともに不本意なものだった。プレーイングマネジャーとして2年目の瞳に映るチームとは。その手腕が、中日の浮沈を左右する。 取材・構成=吉見淳司、写真=大賀章好 “中日らしさ”とは
――まずは選手としてお話を聞かせてください。あと27試合に迫ったNPB最多出場新記録が今季の最初の山場になりますね。
谷繁 現実的な数字として2991試合に出ているので、あともう少しですね。ただ、数字や記録を目標にしてきたわけではありませんし、今までの積み重ねでここまで来たわけですからね。そのスタンスは変わらない……ですけれど、何とか到達できるように準備をしています。
――目標ではないでしょうが、やはり意識する記録ではある。
谷繁 こうやって取材されるたびに言われるわけですからね(苦笑)。気にしていないというとウソになりますが、気にしつつも自分のスタイルは崩さずにやっていきます。
――本音では、昨年に達成しておきたかった数字なのでは。
谷繁 正直に言えばその思いはありました。ただ、うまくいかないのがこの世界ですからね。昨年に届かなかったからといって特に気持ちに変わりはありません。
――昨年は19年ぶりに100試合出場に届かず、打率も1割台でした。
谷繁 納得できたかできないかといわれたら、もちろん納得はできていません。でも、常に少しでも上にというプレーを目指しながらやっていますし、19年前と今の自分では数字の意味もまったく違いますからね。19年前はこれから何とか力を伸ばして、レギュラーを取るためには何をしないといけないか、と試行錯誤していた結果。今は率直に、引退が近づいてきている上での成績だと考えています。
――ただ、昨年の試合では点差の離れた試合終盤になっても、打席で相手投手に食らいついていく姿勢を常に見せていました。
谷繁 去年は特に意識していましたね。今までもそういうことをやっていなかったわけではないですけど、チャンスになればとにかく粘って相手にプレッシャーをかけるという思いでやっていました。やっぱり、ほかの選手にその姿勢を見せたいという気持ちがありましたからね。それに、今のチームが置かれている状況を分かってほしかった。2年連続4位という結果に終わり、上位球団と同じようにプレーしていては何も変わらない。粘りやいやらしさというものがウチのチームには出てこないといけないと思っているので、そういうところを感じてほしかった。
――失礼な言い方かもしれませんが、昨年のチームには中日らしくないと感じることもありました。
谷繁 粘り強さがあったころのメンバーも半分はいない状況で、自分も含め、レギュラークラスはほぼ全盛期を過ぎている。しかし、それでも勝たないといけないわけですからね。年齢を言い訳にすることはありませんし、これからレギュラーを取っていく選手には求められる部分だと思います。
――昨年は
福谷浩司投手や
又吉克樹投手が頭角を現し、主力となる若手も増えています。
谷繁 徐々にそうなっていかないとチームは成り立たないですからね。粘り強さはチームスタイルというよりも、勝つためにやっていかないといけないこと。ナゴヤドームを本拠地としているチームで、じゃあ、一発ホームランで勝てるかというとそういう試合はあまりない。やはり投手中心に守り勝つ野球が、最も勝率が高いですから。
現状の手応え
――では、監督としてお話をお聞きします・・・
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