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松井秀喜氏、ヤンキースGM特別アドバイザーに就任

 

現地時間3月11日に松井秀喜氏がヤンキースのキャンプ地・フロリダ州テンピで同チームのGM特別アドバイザー就任の会見を行った。元日本人選手としてはメジャー球団初のフロント入りとなった。将来の監督業に向け、新たな一歩を踏み出した。
文=笹田幸嗣、写真=Getty Images

ヤンキースのキャンプで打撃投手を務める松井氏。今季はこういう形でマイナーチームの打撃指導を行うことになる



マイナー8球団を巡回
打撃アドバイスを行う役目


 現役引退から3年。松井秀喜氏がようやく現場に戻ることになった。用意された肩書きはヤンキース・ブライアン・キャッシュマンGMの特別アドバイザー。平たく言えば、マイナー巡回打撃コーチであり、1Aから3A、傘下マイナーすべてのチームを巡回し、打撃面で監督、コーチとともに選手にアドバイスを送り、打撃指導を行う役回りだ。再び背番号55に身を通し、指導者としてのキャリアをスタートさせる松井氏はヤンキースのキャンプ地であるフロリダ州タンパでまずはジョークを交え挨拶した。

「この機会を与えてくれたヤンキースに感謝したいと思います。僕はGMのスペシャルアドバイザーですが、スペシャル通訳がいなくても大丈夫のように頑張っていきたい」

 一部現地メディアからは「通訳が必要なGMアドバイザーにできることはあるのか」と陰口を叩かれていたのも事実だったが、松井のウイットに富んだジョークに会見場はたちまち爆笑の渦に包まれた。そして、あらためて松井氏は志のほどを口にした。

「日米でそれぞれ10年間プレーをしてきまして、その経験を少しでも若い選手の成長の力になるようにしていきたい。これは僕にとって大きなチャレンジですので、僕自身もこの気持ちを忘れずに常にチャレンジしていきたい。僕自身の勉強の場にもなると思っています」

 会見に同席したキャッシュマンGMは就任に至った経緯として、日米で残した10年間ずつの実績を称え「アメリカでも真のプロフェッショナルとしてクラブハウスで迎えられていた」と、まずはその人間性を高く評価した。その上で「われわれはかねてから松井氏がオファーできる立ち場にいる限り、活用させてもらいたいと考えていた」と説明。ヤンキースとして必要な人材であったことをアピールしたが、言葉の端々にヤンキース球団だけの思惑でない部分も見え隠れした。

「彼はヤンキーでありながらジャイアンツのメンバーでもあります。彼の特別なところはメディアマーケットでも一番大きなふたつ(ニューヨークと東京)でプレーし、プロとしての責任を果たしてきた。この貴重な経験こそが、若い選手たちにプラスになっていくと信じています」

2009年ワールド・シリーズMVPに輝き、ヤンキースを世界一に導いたが、このとき以来チームは世界一から遠ざかっている。契約は1年ながら一人でもいい打者をメジャーに送り出したい



 ヤンキースと巨人は松井の移籍以来、長く業務提携を結んでいるのは周知の事実。そして、今回の就任に関しては、昨年12月の時点ですでに巨人の系列スポーツ紙が一面で大々的に報じていた。この事実を鑑みれば、両球団の間で塾考された上での結論と考えてもいいだろう。

 昨年11月。巨人の白石興二郎オーナーは「ポスト原の有力候補であることは間違いない」と話した。今回の席上、松井本人は監督となるための過程かと問われ「まだ、将来のことは具体的には考えていない」と話したが、その可能性は否定しなかった。

「もし、そうなったときに今回の経験が生きればいいな、というふうに思っています」

 契約期間は1年。来季以降に関しては白紙。近い将来の松井秀喜監督誕生に向け、最初の一歩になったことは間違いないようである。
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