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“プレミア12” 初制覇への戦い

又吉克樹「侍ジャパンでの活躍はドラゴンズへの恩返し」

 


彗星のごとく現れた対外国人打者のスペシャリストに、侍ジャパン・小久保裕紀監督も招集リストへ嬉々としてその名を書き込んだに違いない。3月の欧州代表戦で日本代表デビューを飾った又吉克樹は、短い出番ながらパーフェクトリリーフで抜てきに応え、“怪盗ルパン”の呼び名のとおりに代表初勝利を手にした。世界一奪回の切り札に、話を聞いた。
取材・構成=坂本匠 写真=内田孝治、高塩隆、小山真司

別世界の舞台で十分なインパクト


──3月10、11日の欧州代表戦が初めての侍ジャパン、日本代表での活動だったわけですが、振り返って真っ先に頭に浮かぶことは何ですか。

又吉 ドミニカに行って得たことをしっかり出せた、という自信ですね。相手のデータがない中で、投手陣全体に難しさはあったと思うんですが、僕には昨秋、ドミニカのウインター・リーグで毎日のように知らないバッターと対戦てきた経験がありましたから、戸惑いもありませんでした。

──ちなみに、昨秋の日米野球はチェックしていましたか?

又吉 いえ、詳しくは。10月の2週目にはドミニカに行っていて、そこから約1カ月半、あまり情報を入れていませんでしたし、日本代表は選ばれた人が行く別世界の話だと考えていましたから。僕自身、異文化の野球に触れている真っ最中で、もっとうまくなりたい、良い選手になりたいと、自分のことに集中していました。ただ、4投手のリレーでノーヒットノーランした(11月15日、第3戦)というのは大々的なニュースになっていて、「すげえな」と。それから3カ月後にまさか自分が選ばれるとは、思ってもいませんでした。

──2月、北谷でのキャンプ中に侍ジャパン入りを聞いたときは。

又吉 森(繁和ヘッドコーチ)さんに呼ばれて、「お前、行って来いな」とだけ言われたんですよ。「ドコに?」みたいな(笑)。「侍だよ」と言われても「侍?」。そのときは、本当にそんな感じでした。「こんなよく分からないヤツが行っていいのかな?」というのが最初の感想ですね。

──地元・沖縄で行われた、出場メンバー発表会見にも選手を代表して出席する機会に恵まれました。

又吉 流れるままに(笑)。でも、ありがたかったです。キャンプ中でタイミングが合ったとはいえ、沖縄初の侍ジャパンの選手(※06年WBC以降)ということもありましたし。

2月16日、地元・沖縄で行われた欧州代表戦の出場メンバー発表会見に出席し、小久保裕紀監督と握手



──このような機会を、“チャンス”ととらえるタイプですか。

又吉 それよりも、感謝する気持ちが最初にありました。僕なんか無名じゃないですか。ドラゴンズファンや、野球ファンの方は別ですが、一般の方にしてみれば、「誰だこいつは?」 ですよ。そんな選手を、選んでいただいた。実際、集合して、ブルペンでほかのピッチャーのボールを見ても、自分が一番レベルが低いなと。大瀬良(大地、広島)も藤浪(晋太郎、阪神)も松井(裕樹、楽天)も、同級生の西野(勇士、ロッテ)も、えげつないボールを投げているなと思いましたもんね・・・

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