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中川大志

 

上位浮上を目指すイーグルスに待望の新戦力が台頭した。プロ7年目の中川大志、25歳。5月に一軍に昇格すると、持ち前のパワフルなバッティングで抜群の存在感を発揮。7試合で四番も任されるなど、いまや楽天打線に欠かせないポイントゲッターとなっている。
取材・構成=松井進作 写真=内田孝治、BBM

武者修行でつかんだ忘れかけていた感覚


 単身での武者修行が飛躍への大きなきっかけとなった。昨年のオフに参加したオーストラリアでのウインターリーグ。そこで結果に関係なく、常にフルスイングをする現地の選手たちの姿を目の当たりにして、中川の中で忘れかけていた感覚が呼び覚まされた。「空振りしたっていい、自分のスイングをしよう」。持ち前のファーストストライクから豪快にバットを振る積極性がよみがえり、好結果の一因となっている。7年目の原点回帰。犬鷲の若きスラッガーに、もう迷いはない。

「目指すのは長打力と勝負強さを兼ね備えたバッター」と語る中川



──5月の一軍昇格後からコンスタントに結果を出し、最近はスタメンに定着。いまは充実した日々を送っているのではないですか。

中川 開幕前は今シーズン結果を残せなかったら、もう自分は楽天のユニフォームを脱がなきゃいけない立場だとも思っていたので。そういう意味では、ここまでは少しずつ結果も出始めてくれて、ホッとはしています。

──もう後がないという覚悟で臨んでいる1年だと。

中川 そうですね。もう入団して7年目ですし、チームもいつまで契約してくれるかなんて分かりませんから。背水の陣じゃないですけど、それぐらいの強い気持ち、自分のすべてを懸けてやろうと思ってスタートした1年でした。

──こうして結果が出るようになった一番の要因は、ご自身ではどのあたりにあると思っていますか。昨シーズンと何が変わった?

中川 一番は昨シーズンのオフに行かせていただいたオーストラリアでのウインターリーグでの経験が大きかった。あれがなかったら、いまの僕はいなかったかもしれません。

──オーストラリアで何かをつかんだと。

中川 技術的に何かをつかんだというわけではなくて、自分の中で忘れかけていたものを思い出させてくれたんです。向こうの選手たちってどんな結果になろうと、一人ひとりがフルスイングで毎回の打席を納得して終えていたんですよね。その姿を毎日、毎日見ているうちに、高校時代やプロに入ったころは僕もそんな感じでバットを振っていたなと。もともとそんなに器用なタイプじゃないのに、いつからか器用に、器用に打とうとしている自分になっていた。それからですね、自分らしい積極的なフルスイングでもう一度勝負してみようと思ったんです。原点回帰の意識改革じゃないですけど、それが結果が出ている1つの要因であることは間違いありません。

──ほかに技術面でこれまでよりも成長できているなと感じている部分はどこですか。

中川 右方向へのバッティングですかね・・・

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