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四国アイランドリーグ 北米遠征記 最終回

 

全16試合を戦い6勝10敗で遠征は終了。しかし、勝ち負け以上にアイランドリーグ、そして、選手にはかけがえのない経験となった。
取材・文・写真=高田博史

オタワ戦の試合前セレモニー国歌吹奏



 6月28日午後2時(現地時間)、北米遠征最終17戦目のオタワ・チャンピオンズ戦(カナダ・オンタリオ州オタワ)が、雨のため中止となった。試合が始まるのを待ち続けていた観客たちの見送りを終えた選手たちは、ロッカールームに集まり中島輝士監督(徳島)の言葉に耳を澄ました。

「勝敗は6勝10敗と負け越したんだけど、10敗は私の責任。これからこの経験を生かさなきゃいけない。みんな、知らず知らずのうちにこの3週間で力がついていると思う。これから自分たちの野球人生にしっかり生かせるよう、頑張ってください」

 キャンナム・リーグ公式戦16試合において、前半のアメリカで3勝(10試合)後半のカナダで3勝(6試合)を挙げた。チームとして力を発揮し始めたところで全日程が終了したことには、若干悔しさも感じる。

 最初は戸惑っていた深い芝生のグラウンドやすべりやすいボール、速い打球、投手が投げる“動く”ボールなどに、試合をこなすごとに対応できるようになっていた。内野ゴロ、凡フライの山を築いていた打者が、本塁打こそ出なかったものの、フェンス直撃の一打を放つようになった。この3週間で、選手としての経験値が飛躍的に上がったことは間違いない。

 最終戦には日本から、鍵山誠アイランドリーグCEOも駆けつけている。

「みんな、とっても充実した表情に見えました。それぞれいろいろな経験が積めたんじゃないか。越えられなさそうな高い壁も感じたと思いますし、『自分の武器はこれだ』という手応えも得たんじゃないかなと思います。最後にみんなの顔を見て、きっとそれぞれがこの経験を、これからの野球人生の糧にしてくれると感じました」

 前日、鍵山CEOはキャンナム・リーグのオーナー兼コミッショナー、マイルズ・ウォルフ氏と会談している。アイランドリーグ・オールスターズとの試合は観客動員も上々で、動員記録を更新した球団もあるなど営業的には大成功を収めている。

「最後まで手を抜かずに全力でプレーする部分をとても評価していただいた。試合を見て、翌日『また見たい』と思ってくれたからこそ、観客動員にもつながったんだろうと思います」


ホテル出発前の選手たち。バスでの移動もアメリカ大陸ならではの経験



 また、日本チームの常に全力疾走する姿勢や、細かいバックアップが「よく野球を知っている」という感想につながった。早くも来年、第2回北米遠征を行うための話し合いの場がもたれている。

 はるばる日本からやってきたオールスターズに送られた声援は「勝った」「負けた」に関わらず、どの球場でも非常に温かかった。「次はどこで試合するんだ」「次はいつ来るの」そんな声をとても多く耳にしている。

 また来年。四国アイランドリーグが11年目に踏み出した新たな一歩は、確かな足跡となった。

全日程が終了後、中島監督から最後のあいさつ

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