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高校野球100年特別企画

荒木大輔が見た横浜・渡辺元智監督の「最後の夏」

 

35年前の夏、甲子園で横浜高と対戦した荒木氏



今年は夏の選手権大会の前身である「第1回中等学校優勝野球大会」(1915年)から100年。全国49地区の地方大会では、甲子園をかけた熱戦が繰り広げられているが、今夏限りでユニフォームを脱ぐ名将がいる。春夏通じ甲子園優勝5度を誇る横浜・渡辺元智監督(70歳)だ。35年前、夏の甲子園決勝で戦った1年生エース・荒木氏にとっても、「YOKOHAMA」高校は特別な相手である。“最後の夏”となる神奈川大会1回戦(対光明相模原=保土ヶ谷)を取材した。
取材・文=岡本朋祐 写真=桜井ひとし

32年ぶりの連続イニング無失点記録更新を目前に……


 関東学院大在学中の20歳(1965年)からコーチとして母校・横浜野球部に携わり、68年秋に監督就任。70、80、90、2000年代といずれの年代も甲子園優勝へ導いた渡辺元智監督が今夏、50年に及ぶ指導者生活にピリオドを打つ。

イニング間に円陣を組む渡辺監督。「選手が主役」と自らの勇退については、多くを語ることはなかった



 今年11月で71歳。3年後の第100回大会も、現役監督として指揮するつもりだったという。昨夏限りで長年、二人三脚で指導してきた小倉清一郎コーチ(前部長)が退任。「小倉がいたとき以上に厳しくやった」と、気力は充実も、体力の衰えには勝てなかった。

 80年夏。左腕・愛甲猛(元ロッテ中日)を擁し、決勝で激突したのが早実だった。1年生・荒木大輔は準決勝まで5試合4完封。堂々としたマウンドさばきと、端正なマスクから“大ちゃんフィーバー”を巻き起こした。

 早実は王貞治がエースだった57年春にセンバツを制しているが、夏の決勝進出は55年ぶり2回目。 荒木は横浜との頂上決戦に大記録もかかっていた。1回戦から44回1/3無失点。海草中・嶋清一(39年)と小倉・福島一雄(48年)が記録した45回無失点に迫っていた。だが、初回2失点で途切れると、3回5失点で降板。快進撃を続けてきた荒木が力尽き、準優勝に終わっている。

「目の前の打者一人を抑えるのに必死で、記録は頭になかった。高校で初めて負けた相手。(3年夏の準々決勝で負けた)池田は圧倒されるパワーがありましたが、横浜は試合巧者。私の身近にいた早実の3年生はフレンドリーでしたが、横浜ナインの目は違った・・・

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