11月8日から始まったWBSCプレミア12で侍ジャパン、日本代表のエースとして優勝のけん引車として期待されている広島・前田健太。2015年は15勝8敗の成績で5年ぶりの最多勝を挙げ、同じく5年ぶりの沢村賞を受賞。日本のエースとしての自覚もある。右腕の自信は、今季の投球でさらに増した。その充実の今季を振り返り、プレミア12での初優勝を誓った。 取材・構成=椎屋博幸、写真=毛受亮介、BBM 抜くことを覚えた投球で
2014年シーズンは8月以降、2勝5敗と失速していった前田。しかし、今季はその反省を生かし、疲れていても打者を打ち取る術を見出した。その結果、8月以降7勝1敗という見違える成績を残し、後半戦でクライマックスシリーズ進出争いの原動力となった。 ――2010年以来5年ぶりの最多勝です。やはり狙って取りにいったのでしょうか。
前田 はい。最多勝と防御率のタイトルは毎年取りたいと思っています。これまで15勝が最多でしたので、できればここを超えたかったというのはありますが、取れて良かったです。
――ジョンソンという最多勝を狙うライバルがチーム内にいました。
前田 2人で勝っていこう、2人でタイトルを獲得できたらいいな、という話はよくしていました。だからライバルとかそういう感じはなかったですよ。
――タイトルを争っていた
阪神の藤浪(晋太郎)投手の存在は?
前田 気にしていなかったですし、晋太郎も取ってくれたらうれしかったです。晋太郎とは自主トレを一緒にやりましたので、争えることに喜びを感じていました。下からの突き上げはうれしいですから。負けるのは悔しいですけど(笑)。ただ、晋太郎の場合は「おお、来た」という感じで見ていました。カープの最終試合で彼が投げましたが、そこはさすがに僕らも勝たないといけなかったので……ただ1年間いい争いができたと思います。年下の投手が出てきてくれることは本当にいい刺激になります。
――そうなんですね。前田投手の試合内容でいえば、今年は特に後半戦、ほぼ負けない試合を作っていました。
前田 体の状態的には昨年のほうが良かったんですよ。昨年と同じ(後半戦2勝5敗)失敗をしたくなかったので、気負わないことを気をつけました。昨年は勝たないといけないという試合で、最初から全力で投げてしまって打たれていました。そういう反省点を踏まえ、今年はそういうことをしないと決め、初回から全力で投げることもなかったですし、抜くところは抜き、力を入れるところは入れるという投球を心掛けていました。大事な試合に対しても入れ込み過ぎないことを心掛け、それがいい結果につながったのかな、と思いますね。
――試合の投球では、力を抜いているのは分かりましたが、一方でピンチになったときは、力のこもった投球をされていました。
前田 後半戦はどうしても疲れが残っていたので、そういうピッチングが必要でした。中4日で投げることもありましたからね。いつもよりもコントロール重視のイメージを持ちながら投げていました。また、その日、その日の体の状態を見ながらすべてが全力じゃなくて、ゴロを打たせてアウトにするということを考えながら投げ……それができたから勝ちにつながったと思います。
――打者を見ながら、この打者は次の球を打ってこないというのが分かっているのですか?
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン