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緊急短期連載・アニキ体制密着
阪神・金本知憲新監督 戦力の底上げを図りつつ、自ら交渉役に

 

チーム再建、そして変革に向けた金本知憲監督の奔走は、グラウンド内だけにとどまらなかった。高知・安芸での秋季キャンプで若手の戦力の底上げを図りながら、アニキは自らが交渉役の1人になり、水面下で来季に向けた補強にも動いていた。

 11月上旬。キャンプ地・高知でのある夜、1人の男と顔を合わせた。2012年まで、阪神の不動のストッパーとして活躍した藤川球児だ。四国アイランドリーグplusの高知を退団した右腕の獲得を、球団は熱望した。一方で、球児の思いを、監督自ら直接対話で聞き出すのが狙いだった。

「タイミングよく(藤川が)地元の高知に同じ時期に帰っていた。口説くというよりは、気持ちの確認をしたかった」

 藤川といえば、2005年に46ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得し、リーグ優勝に貢献。最多セーブ王のタイトルも2度獲得するなど、ウィリアムス、久保田智之とともに、強力中継ぎ陣を作り上げた。チームの看板ともなった勝利の方程式「JFK」を形成し、猛虎の誇る絶対的ストッパーとして君臨した投手だ。実績は文句なしだが、鉄人監督は冷静に、かつ厳しく、現状を見極めようとした。

「まずは、戦力になれるかというところ。それから、1からチームのために投げる、チャレンジする気持ちがあるかというところ。そこを確認したかった」

四国IL高知を退団した藤川は4年ぶりの阪神復帰を決めた。かつての守護神が、どのポジションで投げることになるのかにも注目が集まる



 藤川は13年にFA宣言をしメジャー・リーグのカブスに移籍した。しかし、1年目に右ヒジを痛めトミー・ジョン手術を受け、シーズン中盤から約1年間をリハビリに費やした。今季はレンジャーズに移ったが、シーズン途中でFAとなった。アメリカでは29試合の登板で2セーブ、1ホールドと、不本意な日々を過ごした。

 日本復帰を決めて、帰国した6月からは独立リーグの四国・高知と契約し故郷に帰った。アニキは、しかし、阪神に戻ってきて、かつてのようなパフォーマンスを見せることができるのか、タテジマの一員として戦う気持ちがあるのか、まず確かめてみる必要があった。

 再びNPBで輝けるのか。高知で残した投球内容を、球団の調査担当に確認し、さらに、直接対話で、再び猛虎の力になるという、熱い気持ちがあるかを問うた。

「彼と話してみて・・・

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