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前田健太 メジャー挑戦最新リポート

ロサンゼルスの空港に降り立った前田。6つのスーツケース持参で、長期滞在し、じっくりと交渉の行方を見守る

 

広島の2大エース、前田健太黒田博樹の16年の方向性が見えてきた。まず黒田は現役続行を表明し、現役最高年俸6億円(推定)で広島と契約した。一方、前田はポスティングシステムで獲得希望球団と交渉中。MLBでは先発2、3番手投手の交渉が始まり、先発3番手の評価を受ける前田の交渉も本格化しそうだ。もしかしたら、早期合意の可能性もある。さて、その球団とは――。
文=奥田秀樹、写真=Getty Images、BBM

Dバックスやカブスが前田獲得をあきらめたのは必然


 MLB球団との入団交渉期限は1月8日(アメリカ東部時間午後5時)まで。前田は現地時間12月14日、家族を伴ってロサンゼルスに到着。大きなスーツケースを6つも携え、長期滞在をうかがわせた。西海岸の大都市の環境を見て回り、必要とあればほかの街にも飛ぶのではないか。

 先週末時点では、アダム・カッツ代理人が特定の球団と交渉をしたという報道はないが、ドジャース、カージナルス、エンゼルス、ナショナルズ、オリオールズ、アストロズなど多くの球団が先発投手を必要としており、どの球団も資金が潤沢に残っている。クリスマス休暇を挟んで、徐々に本格交渉に発展する。

 日本の一部報道に「マーケットに入るのが遅かったのでは?」というものがある。獲得に興味を抱いていたダイヤモンドバックス、ジャイアンツ、カブスなどが先発投手の補強を済ませたからだが、そうだろうか? ここまで契約した投手は、当初から評価が前田以上に高く、先に消えるべき投手だった。

 ダイヤモンドバックスが前田に興味があったのは確か。しかしながら前田が30球団の中から同球団を選んでくれる保証はない。前田だけを待つわけにはいかないし、少なくとも先発投手が2人必要で、素早く積極的に動いただけだ。

 仮に前田に必要な費用がポスティングフィー2000万ドル+サラリー5年6000万ドルだとして、合計8000万ドル。これにさらに上乗せすれば、1ランク上の右腕ジョニー・クエトが狙える。同球団はクエトに1億2000万ドルをオファー。しかし断られた。

 だがあきらめない。ここから大奮発して、2億650万ドルで右腕ザック・グリンキーを奪い取った。大変な金額だが、6000万ドルは後払いというのがトリック。同球団は地元TV局と20年15億ドルの契約を結んだばかり。先々も資金はある。もう1人の先発は、お金のかからないトレードで、複数のプロスペクトを出し、ブレーブスの右腕シェルビー・ミラーを獲得した。

 ジャイアンツは右腕ジェフ・サマージャに5年9000万ドル、右腕ジョニー・クエトに6年1億3000万ドルを投資した。同じオフに、9000万ドル以上の投手を2人も獲得した球団はジャイアンツが初めて。前田については、MLBでも日本と同じように200イニングを投げ、好成績を残せるかどうかに疑問符をつけ、獲得に積極的ではなかった。

 カブスの補強は野手優先。ジェイソン・ヘイワード外野手と8年1億8400万ドル、ベン・ゾブリスト内野手と4年5600万ドルで合意。先発投手は短期でベテラン右腕ジョン・ラッキーと2年3200万ドルでサインした。

先発3番手で信頼性が高い年俸1500万ドル近い評価


メジャーではその投球技術やコントロールの良さも認知され、先発3番手としての評価をしっかり受けている



 前田が11月のスタート時点からマーケットにいても、上の大物が消えるのを待つだけで同じだったのだ。そして今こそ、前田の出番である・・・

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