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松山竜平 外野手 #37

“アンパンマン”のバットが導いた逆転勝利

 



 松山竜平のための交流戦だった、と言ってもいいだろう。丸い顔と豪快なアーチを生む長距離砲は“アンパンマン”の愛称で親しまれ、そして、本家に負けない頼りになる働きを見せた。

 6月12日現在で、交流戦15試合に出場し、打率.442。規定打席には達してないものの、これはトップのソフトバンク・長谷川を上回る数字だ。そして、本塁打2本はいずれも効果的な一発だった。

 まずは、5月26日の楽天戦(マツダ広島)だ。1点を先制された直後の4回二死一、二塁。永井の投じた内角低めのスライダーに体が反応した。くるりと体を回転させ、バットを振り抜く。打球はライトスタンドへ飛び込む逆転の3号3ラン。3万人超の大観衆の歓声を浴びながら、ヒーローはゆっくりとダイヤモンドを回った。

「僕は内角低めが、好きなんです。今は打てる球をしっかり振っていこうと思っています。それが結果につながっている。自分のタイミングでスイングできていますね」

 2本目もリプレーを見るかのようなアーチだった。6月9日の西武戦(同)。6回までわずか1安打に抑えられていた西武先発・十亀から逆転の4号3ランをたたき込んだ。「あとで審判に聞いたら、難しい球だったらしい」と、野村監督も驚きの一発だった。

 試合後のお立ち台では、“名文句”が全国バージョンに進化していた。もともとは「鹿児島の――」というフレーズで始まっていたが、この日は「全国の広島ファンのおじいちゃん、おばあちゃん、今日、オレやったよ!」と絶叫。スタンドは爆笑と喝采に包み込まれた。実力とともに人気も上昇カーブを描いている27歳。時の人で終わるわけにはいかない。
オーロラビジョン

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