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伏見寅威 捕手 #23

正捕手不在のチームに希望の光

 



「捕手として試合に出る以上はいかに失点を防げるか。自分はDHじゃない。守りでチームに貢献できなければ意味がないと思っています」。ルーキー・伏見寅威ははっきりと口にした。昨秋のドラフトではオリックスから3位指名を受け入団。東海大では巨人・菅野の女房役として注目を集め、勝負強い打撃でアマNo.1の捕手として評価を受けた。春季キャンプでは新人唯一の一軍スタートを勝ち取るなど、即戦力として首脳陣の目をくぎ付けにした。

 開幕一軍こそ逃すも、4月後半に待望の昇格を果たした。初出場は4月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)。途中出場ながら9回の初打席では右翼線へ二塁打を放ち、その裏は守護神・平野佳とバッテリーを組んだ。「あのときは緊張もありました。ヒットが出たのは良かったけど、大量リードの中で点を取られたのは反省するところだった」と苦笑いを浮かべ振り返った。この試合を終えると再調整のため二軍に降格。再び一軍から声がかかったのは6月だった。

 今シーズンの正捕手は6年目の伊藤が台頭。オールスターにも初選出され一気にブレークした。右打ちを徹底することで打率も2割後半をマーク。だが、森脇監督は伊藤と伏見の「2人とも実力は遜色ないと思っている。伏見には経験がないだけ」とルーキー捕手を高く評価している。一軍の空気に慣れた伏見は8月3日のロッテ戦(ほっと神戸)では初打点、初本塁打を記録するなど順調にステップを踏んでいる。チーム事情により同20日に再び二軍に降格したが、近年、正捕手不在が続いていたチームに希望の光が見えたのは確かだ。今後は伊藤とともに激しいレギュラー争いを繰り広げる。
オーロラビジョン

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