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松井雅人 捕手 #47

一軍での“初心者マーク”はもうすぐ

 



 2番手捕手ではあるが、自動車の運転にたとえれば初心者マークにも届かない仮免許といったところか。路上に出て、ほかの車と一緒に走ってはいるが、まだ松井雅人は1人でハンドルは握らせてもらえない。

「自分の中で余裕がなくなっちゃうときがあるので。それだと、投手も不安で思い切って投げられない。どんなときもこちらが自信を持ってプレーできるように……。なかなか難しいですけど、今がチャンスなので」

 長らく中日の2番手捕手は小田だった。が、正捕手の谷繁が42歳で、2番手も37歳では次代への展望が開けてこない。高木監督とコーチは、ドングリ状態だった若手捕手群から、松井雅を選んだ。経験が問われるポジション。当たり前だが成長はしているが、課題も多い。

 現状で松井雅が谷繁を上回れるのはスローイングだろう。及第点の送球タイムはあるのだが、投手のクイックモーションの不徹底もあり、盗塁阻止率は.250にとどまっている(8月19日現在)。捕逸は2。同じ試合の同じイニング、しかも延長12回にやってしまい、敗戦に直結した。受けているときの暴投も9。キレ味鋭い一軍級投手の変化球の軌道予測に甘さが見られるようだ。

「届かないと思った球が届いたり……。とにかく試合中のブルペンで受けて、特徴をつかまないと」。今季の出場は39試合。うち先発マスクは15試合あるが、その勝敗は8勝7敗だ。借金2ケタのチーム成績を考えれば、胸を張っていい。次代の正捕手への距離は縮まってはいる。路上教習を終え、晴れて初心者マークをつけられる日も、もうすぐだ。
オーロラビジョン

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