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中村晃 外野手 #60

待っている過酷な競争

 



 才能は突如として開花した。昨季一番に定着した中村晃は初めて規定打席に達し打率.307を記録しただけでなく、出塁率は.392を誇った。追い込まれてもファウルで粘るスタイルは、相手投手の戦意を奪う役目も担っていた。7年目を迎えるシーズンだが、つかんだものを決して放さないとの心意気は、このオフの自主トレの姿からも見て取れた。「ケガをしない体をつくることと、少しでも速い打球を打てるようにするためにやっています」

 相手投手のマークもきつくなると予測される実質「2年目」への対策は用意してある。首位打者・長谷川の「成功例」を積極的に取り入れている。昨秋から肉体改造に着手。全日本ボディビル選手権ミドル級6連覇の実績もある高西文利トレーニングアドバイザーの指導の下、体重は1.5キロ増の83.6キロと自己最高体重を手に入れた。「パワーがあれば、引きつけて打ってもボールに力負けしない。空振りも少なくなる」。明確な理論が中村の頭には描かれている。

 1月2日には母校の帝京高で始動し、前田監督から「(昨季は)よく頑張った。打席での間がよくなった」と褒められた。スケジュールが合わず実現しなかったが、このオフには帝京高野球部OBのとんねるず・石橋貴明の番組「リアル野球BAN」への出演を打診された。周囲からの注目度は高まるばかりだが、中村はしっかりと足下を見つめている。「打順も守備位置もこだわりはない。目標は144試合出ることです」

 一塁にはオリックスから李大浩が加わった。外野は不動の内川、長谷川に続く1枠を柳田、江川らと争う。楽観視できる状態でないからこそ、進化の手は緩めない。
オーロラビジョン

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