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谷元圭介投手・唯一無二の輝きを放つ“最高の便利屋”

 



 荒れたマウンドに立ち、味方の反撃を待つ。谷元圭介は脚光を浴びることが少ない難役を、開幕から託されている。ロングリリーフ要員として、試合が序盤で乱れた際、有事にブルペンから飛び出す。劣勢のケースが主で、先発投手が危険球退場やアクシデントに見舞われたときに出番が巡ってくる。主導権はなく、ひたすら出番を待つ立場。それでも「やりがいを感じてはいる」という。

 今季の先発ローテは開幕から世代交代が図られ、変則の「9人制」だ。プロ3年目で初一軍の上沢、2年目の大谷、ルーキー浦野。ほか故障上がりの斎藤佑と、爆発的なパフォーマンスも期待できる反面、ゲームプランを立てづらいコマで戦っている。小差のビハインドで先発投手が早期降板すれば、谷元の名前がコールされる。

 象徴的な一戦が4月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)だ。今季初先発の大谷が右ふくらはぎがつったため3回で降板。4回から後を受けて2番手で登板した。3回を1失点にまとめ、一時は逆転するまでの流れを作った。「ブルペンで待つ時間は長いですけど、それも自分の役割なので」。 スクランブル態勢となったときの先兵として、試合を壊さずに丹念に流れを呼び戻す。

 昨季までは手薄になった場合には先発投手、または今季のような中継ぎと、目まぐるしく変わる持ち場に、柔軟に対応してきた。言葉は悪いが「便利屋」。だが、その中でも重要な局面ばかりで起用されている。自分の存在があるから、ほかの投手が玉砕覚悟で試合序盤から飛ばしていける。数字に表れない副産物も、もたらしている。代役がいないオンリー・ワンの価値を示し続ける。
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