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松山竜平外野手・右キラーを脱却し、真のレギュラーへ

 



 あまりに出来過ぎたシナリオだった。5月4日のDeNA戦(マツダ広島)、1点を追う2回一死一塁。六番・松山竜平は右腕・モスコーソの内角直球をとらえた。一時、逆転となる3号2ラン。「今日、実は鹿児島のお母さんの誕生日だったんです。お母さん、やったよ〜!」。母ルリ子さんの53歳の誕生日に祝砲を挙げ、お立ち台で声を張り上げた。

 とはいえ、喜んでばかりはいられない。3点リードの5回二死一、三塁で左腕・林と対戦して遊飛に打ち取られたシーンを悔しがった。打席に入る直前、野村監督から「今日打ったら(左投手相手でも)スタメンあるよ」とゲキを飛ばされていたと言う。「左を打たないとレギュラーはない」と気を引き締め直した。

 打率.282、10本塁打、52打点とブレークした昨季、右投手相手に.292だった打率は左が相手だと.194。今季は相手投手の左右に関係なくスタメンを張る決意だった。2月は日南キャンプ2日目にいきなり左太もも裏を痛めたが、3月11日に一軍復帰。オープン戦で打率.452とアピールし、3月28日の中日戦(ナゴヤドーム)の開幕スタメンを勝ち取った。ただ、それは相手先発が右腕・川上だったからだ。

 5月21日の時点で、37試合出場で打率.333、4本塁打、14打点。チーム44試合に初めて、左腕相手に先発出場を果たした。しかし、今季も右投手相手に97打数33安打、打率.340、4本塁打、13打点と大暴れしながら、左投手相手には11打数3安打、打率.273、0本塁打、1打点と目立った成績を残せていない。右投手キラーという立場から卒業できるか。真価を問われる1年となる。
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