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上沢直之投手・若手登竜門からわずか1年で最高峰の舞台へ

 



 3年目で開幕からブレーク中の上沢直之は、夏の晴れ舞台に立つ資格は十分にある。当初は先発ローテーションの谷間を埋める存在として、下馬評はそれほど高くはなかったが、交流戦前までに5勝をマーク。プロ初勝利から破竹の進撃で、チームの勝ち頭になっている。群雄割拠のパ・リーグ先発陣だが、球宴に監督推薦枠での選出が予想される。

 1年前は、想像もできなかった。昨年7月のフレッシュ球宴(秋田)では、全イースタンの先発予定だった楽天・森がアクシデントで回避。当初は2番手の予定だった上沢が繰り上がりで緊急先発を任された。2回2三振を含む完ぺきな投球で優秀選手賞を獲得する活躍を見せた。「驚いたけど、2イニング投げるチャンスだと思いました」と持ち前の度胸の良さで、全国にその名をアピールした。

 チャンスを生かす勝負強さを今季も生かし、さらに大きなステージに立とうとしている。手薄な先発陣のチーム事情もあり、開幕から6人の枠に滑り込んだ。11年のドラフト6位入団でハングリー精神満点のホープが、存在感を示したのが5月9日のオリックス戦(ほっと神戸)。2週連続となった相手エース金子との息詰まる投げ合いを制し、実力を証明した。

 試練を乗り越え、少しずつ自信も芽生えつつある。「他球団エースが投げるカード。しっかり勝てたことで、これから強い気持ちを持って投げられる」。187センチの長身本格派右腕は高校時代に「松戸のダルビッシュ」の異名をとった。尊敬する本家も沸かせた、スター選手の“祭典”への初出場は目の前にある。切り開いてきた、成り上がりの野球人生に華やかな舞台が待っている。
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