巨人へFA移籍した
片岡治大の人的補償で今季チームに加入した
脇谷亮太内野手は、2011年11月に右肘じん帯再建手術を受けて以降では最多となる95試合に出場。201打数54安打2本塁打20打点、打率.269(10月2日現在)という数字は、及第点と言ってもいいだろう。入団会見の席では「どこでも守れるところが売り」と語っていたが、実際にその内野守備のユーティリティがチームを大いに助けた。
今季、チームは中村がケガの影響で三塁を守れず、その三塁に入っていたランサムも7月末で契約解除、二塁の浅村もシーズン途中に負傷離脱と苦しい状況の中で、「一、二、三塁と、いろんなところをフォローしてくれたのは大きかった」と奈良原コーチも評価する。
しかし、脇谷自身は「個人としても、チームとしても、成績自体は決して満足できるものではない」と唇を噛む。「たくさん失敗したし、ミスもいっぱいしたし、たくさん打てなかった。何よりもチームが優勝しないと『良いシーズンだった』とは絶対に思えない」。悔しさが強く残るシーズンとなった。
一方で、野手の中で2番目の年長者という、これまでになかった環境は、新たな自分を引き出した。「どうしたらチームが良くなるのか、勝てるのか、いろいろ考えてすごく頭を使った。1、2年目の若い選手もいる中で、もっと周りを見て野球をしないといけないと思った」
今季を振り返り、あらためて痛感するのは「優勝をしないと、チームも選手も成長がない」との思いだ。「練習から常に、何か1つコツをつかんでやろう、上手くなってやろうと思っている。野球をやめるまで、技術向上を目指し続けたい」。32歳はさらなる進化を誓う。