一足飛びにスターダムを駆け上がった。表彰や取材など、忙しいオフシーズンを送る
山田哲人は今や、
ヤクルトの顔だ。
球春――。スタートは「ポジション争い」だった。キャンプ、オープン戦と結果を出し、田中浩との定位置争いを制して「一番・二塁」の開幕スタメンを勝ち取った。元来の「一番像」とは違う思い切りのいい打撃と勝負強さで上昇気流に乗り、交流戦では首位打者(打率.378)に。初出場した球宴では、第2戦で本塁打を放ち敢闘選手賞を獲得した。
食が細く、胃腸が弱い体質も手伝い毎年夏バテに苦しんできたが、今年は8月に打率.373、6本塁打、20打点で月間MVPを受賞。そのまま息切れすることなく右打者として日本選手史上最多の193安打を放ち、打率.324をマークした。昨季はわずか3本だった本塁打は終わってみればセ・リーグで日本人選手トップの29本。技術を体得しパワーアップも果たしたことで、長打もある『攻撃的リードオフマン』が誕生した。
「バッティングは自分でも想像していなかった成績を残せた。でもたった1年活躍しただけではまぐれ。毎年必ず結果を残せる選手、チームの成績を上げられる選手になりたい」と山田は話す。
オフには侍ジャパンに選出され日米野球にも出場して視野を広げた。尊敬する坂本(
巨人)や前田(
広島)らそうそうたる顔ぶれと親交を深め、MLB側で来日したカノ(マリナーズ)とも会食。大いに刺激を得た。
来季の目標がある。
「今年だけで終わるようでは一流にはなれない。スーパースターを目指して頑張ります」
22歳の可能性は、無限大だ。