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田中賢介内野手・カムバックしたV奪回へのキーマン

 



 エンジンがかかってきた。3年ぶりに古巣復帰した田中賢介の決意の再出発は、順風満帆だ。キャンプ中の実戦は二塁に固定され、打順は二番を中心に上位に据えられた。栗山監督からの期待の大きさが分かる起用法。自慢の総合力を発揮し、新たな打線の起爆剤として機能し始めている。「焦り過ぎず、飛ばし過ぎず、でもアピールしないといけませんね」と責任感十分だ。

 まっさらな気持ちで再び、愛着あるユニフォームに身を包んだ。「優勝したい。そのために力になりたい」。チームを去ったのは12年オフ。海外FA権を行使して海を渡った。夢だったメジャー・リーグに挑戦した。13年はジャイアンツ、14年はレンジャーズ傘下3A。メジャーで活躍するという野望を果たせずに、日本へ舞い戻った。再挑戦の新天地は、日本ハム以外にないと心に決めていた。

 若手主体のメンバー構成で戸惑いもあった。30歳以上の野手は中嶋捕手兼任バッテリーコーチと先輩の飯山の3人だけになった。なじむのに時間を要したが、1つだけブレない思いがある。「人と競争するより、自分のプレーをしっかりするという意識。競争する気はないです」。日本ハムの常勝時代を築いたプライド、群を抜く実績。グラウンドに立ち、チームをけん引する使命を受け止める。

 アメリカでの不遇だった2年間。第一線でプレーすることができなかったフラストレーションをようやく爆発できる。「セカンド一本で、やろうと思っています」とセンターラインの要として、大勝負をかける。栗山監督は「オレにとっては田中賢介は、田中賢介」と独特の言い回しで信頼を寄せる。野球人生の集大成へ臨む。
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