本来の実力を証明する戦いが始まる。
ロッテからFAで加入した
成瀬善久。プロ通算90勝の実績を持つ左腕が、最低限の目標として掲げる2ケタ勝利をクリアしたとき、必然的に100勝を達成することになる。「この2年はケガでなかなか勝てていないですし、まずは1年間先発ローテを守ることが大事。1勝1勝を積み重ねていって、今年中に達成できたら理想です」と節目の数字を視野に入れている。
大きな転換期を迎えている。2004年のドラフト6巡目でロッテに入団。「プロに入ったころはこんなに勝てるなんて想像もしなかった」と言うが、入団4年目の07年に16勝1敗、防御率1.82という驚異的な成績をマーク。09年からは4年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、名実ともにロッテのエースとして活躍してきた。だが13年に左肩を負傷してからは思うような投球ができずに、最近2年は10勝に届かなかった。
そんな自分を変える意味で、立場が保証されていた場所から、新天地の
ヤクルトを選んだ。沖縄・浦添キャンプでは代名詞の「猫招きフォーム」を見直した。13年に痛めた左肩を無意識でかばい、フォームが縮こまっていたと分析。以前のようなダイナミックさを取り戻そうと、修正に取り組んだ。セ・リーグとパ・リーグの違いや、捕手とのコミュニケーション不足などまだまだ課題はあるが、「FAで来たからには結果を残さないといけない」と覚悟はできている。
もちろん、100勝は通過点でもある。「個人よりチーム成績が大事ですけど、やるからには上を目指したい。ケガさえしなければ、いけると思っています」。新天地で再び輝きを取り戻す。